小倉昌男 経営学

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ヤマト運輸二代目社長の視点から、同社が宅急便事業に至り、そして成功させるまでの険しい道のりが赤裸々に描かれている本書。
超重要取引先と、国家権力と、そして社内と闘った歴史、その節目節目における小倉社長の思想と行動が鮮明に浮かび上がるようで、一気に読み進めることができた。

不運もあって20代は病床に伏せる期間が長かったにもかかわらず、仕事に復帰した後は「強烈なリーダーシップ」と「綿密なロジカルシンキング」でもって構想を描き、現場と経営を引っ張っていたこと、ゼロからイチを実現していったことに胸が熱くなった。

いくつもの印象に残る部分があり、特に印象に残った箇所を抜粋すると以下の通りです。

●善い循環も悪い循環も、一朝一夕に起きるものではない。
●共同経営とは。自発性を高めるにはコミュニケーション。
●サービスが先、利益は後。
●□□第一はマンネリ。なぜなら第二がないから。
●社員には自分の仕事に責任を持って遂行してもらう。それを引き出す努力が経営者の仕事。
●成功している経営者は「ねあか」が多い。


【その他印象に残った箇所】
過去の成功が災い。
出発点はよく働くこと。
トラックは荷物を積んで奔ることで収入を得る。半分くらいの時間しか稼働できないのが普通。
物流を構成する主な要素は、輸送、保管、荷役、包装、加工、情報。
共同体経営。経済の動き、経営の状態、人事など経営に必要な情報を、同時に従業員にも提供し、同じ目的意識をもたせることが必要。自発性を高めるには、社内のコミュニケーションの改善。
(集配車のドライバーが不足したため、小さな運送業者を下請けに使い、配達させたことを)絶対にやってはならないと禁じた。
供給者の論理と利用者の論理は正反対の場合が多い。
サービスとコストは常にトレードオフの関係。
利益のことばかり考えていればサービスはほどほどで良いと思うようになり、サービスの差別化はできない。となると収入も増えない。よって利益はいつまで経っても出ない。悪循環。
サービスが先、利益は後と言えるのは社長。だからこそ社長が言わなければならない言葉。
○○第一は、マンネリの代名詞。というのも第二がないから。
社長の役目は、会社の現状を正しく分析し、何を重点として取り上げなければならないかを選択し、それを論理的に説明すること。
全員経営とは経営の目的や目標を明確にした上で、仕事のやり方を細かく規定せずに社員に任せ、自分の仕事を責任をもって遂行してもらうこと。
日本人は、潜在的に会社への参画意識があるのだから、それを引き出す努力を経営者が怠ってはいけない。
キーワードはコミュニケーション。目的と目標を明示。
組織が大きくなると社員のやる気を阻害する者が社内にいることが多い。直属の上司であることが多い。自分の経験をもとに仕事のやり方を細かく指示したがる一方で、会社の方針や計画をなぜそうなのか説明することが苦手。そうなると社内コミュニケーションが途切れてしまう。
攻めの経営の真髄は、需要を作り出すところにある。需要はあるものではなく、つくるもの

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年8月21日
読了日 : 2022年8月21日
本棚登録日 : 2022年8月1日

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