連続殺人の犯人は中ほどでわかる。
しかし最早、それだけでは入り組んでしまった事件と人間関係を解きほぐすことはできない。
事件は加速度を増し、エリザベスが捕らわれ、エイドリアンは罠と知りながら誰にも助けを求めることができず、ひとり彼女を救出に向かう。
うん、ストーリーとしては面白かった。
でもその解決はどうだろう。
エリザベスもエイドリアンも、自信の冤罪を証明することを放棄したというか、証明しようがどうしようが、一度地に落ちた名前が再び元の輝きを取り戻すことはないと見切ってしまっているところが、哀しい。
彼らはそれでも大人だから、大人の判断としてその道を選んだことは仕方がないと思う。
けれども、チャニングは?ギデオンは?
そして彼らの新しい生活を支える生活基盤も、私は納得できない。
とはいえ、単純な正義が、彼らの心についた傷を癒せるものではないことはわかる。
正解は何なのかはわからない。
わかるのは、一連の事件に巻き込まれることによって、彼らはそれぞれ家族を失い、神への信仰と警察への信頼を失ってしまったこと。
これは、日本人が考えるよりもアメリカ人にとっては衝撃的なことなのかもしれないなあと思った。
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- 感想投稿日 : 2018年9月8日
- 読了日 : 2018年9月8日
- 本棚登録日 : 2018年9月8日
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