WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う

  • 日本経済新聞出版 (2012年1月25日発売)
4.01
  • (118)
  • (110)
  • (76)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 1996
感想 : 144
3

 「爆速経営」の巻末にお薦めされていた著書。


 〈ゴールデン・サークル〉は、円の中心から始まる。すべてがWHYから始まるのだ。
 その応用法へと話を進めていくまえに、まず、この円のなかに記されている単語の意味を説明しよう。円の外側から内側へと、順に説明していく。

 WHAT:企業や組織は、自分のWHATがわかっている。大企業であろうが中小企業であろうが、どんな産業であろうが、だれもがわかっている。自社が扱っている製品やサービスのことならだれだってすらすらと説明できるし、会社や組織のなかで自分がどんな職務についているかも簡潔に説明できるはずだ。このようにWHATは、明確に説明することができる。
 HOW:自分がしていることのHOWを知っている人や企業も、なかにはある。「価値観に差異をもたせる」、「独自の工程」、「ユニークな販売計画」など、よそとは違う方法、よりよい方法をとるのだ。これをHOWと呼ぶ。HOWはたいてい、WHATほど明確ではない。ひとつの決断をくだすうえで、よそと差異化をはかり、人にやる気を起こさせるのはHOWのはずだと考える人は多いだろう。だが、HOWさえわかっていればそれでいいと考えるのは間違っている。ひとつ、見逃している点があるのだ。
 WHY:自分がいましていることを、しているWHY。これを明言できる人や企業は少ない。ここで留意してほしいのは、このWHYには「お金を稼ぐため」という理由は含まれない。それは結果にすぎない。私がWHYと問うとき、それは、あなたの目的はなんですか、大義や理念はなんですかと尋ねているのだ。なぜ、あなたの会社は存在しているのか?なぜあなたは毎朝、ベッドから這いだし、出勤しているのか?なぜ、そんなことを気にかけねばならないのか?

 1970年代初頭、旅行客のなかで航空機利用者はたった15パーセントにすぎなかった。当然航空会社の市場はまだ小規模であり、大手航空会社の競合会社になりそうな企業があったとしても、結局は、採算がとれないだろうと市場参入を断念していた。ところがサウスウエストは、旅行客の15パーセントの人々に目をくれたのである。ライバルはだれですか、と当時のサウスウエスト航空に尋ねたら、「車やバスがライバルだ」という返答が返ってきただろう。だが、その真意は「われわれは庶民のために戦う闘志である」ということだった。それこそ、かれらが航空会社を創業したWHYだった。それがかれらの志であり、目的であり、存在理由だった。

 人類がこれまで成功をとげてきた理由は、私たち人類が最強の動物だからではない―とんでもない。身体の大きさと腕力だけでは、成功は保証されない。文化を形成する能力があったからこそ、人類は種として成功をおさめた。文化とは、同じ価値観や信条をもつ人々の集合体だ。ほかの人と価値観や信条を共有できれば、そこから信頼が生まれる。他人を信頼すれば、自分の子どもを守る際に力になってもらえるし、自分が生き延びる確率も高くなる。洞穴の外にでて狩猟にでかける能力、帰宅するまで自分の家族や所有物を近隣の人が守ってくれるという自信をもって探検にでかける能力は、個人の生存、そして人類の進化においてもっとも重要だ。

 偉大なるリーダーが共通してもっているのは、組織の適材を見つける能力だ―リーダーが信じるものを信じる人間をさがす能力である。サウスウエスト航空は、適材を雇う能力をもつ企業の好例である。自分の信念を体現する人材を見つける能力があれば、すばらしいサービスを簡単に提供できる。ハーブ・ケレハーがこう語ったのは、語り草となっている。「技術を雇うんじゃない、姿勢を雇うんだ。技術なんぞ、いつだって教えられる」。まさに言い得て妙。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2019年8月4日
読了日 : 2019年8月4日
本棚登録日 : 2019年8月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする