著者の、高峰秀子さんに対する強い愛情と畏敬の念があってこそ生まれた本だと思う。そして本書を読むと、著者が口さがない他人からどれほどの酷いことを言われてきたか、そして恐らくそれは現在も続いているのであろうと推察される。
高峰さんの死後そう時間が経たない内に刊行されたせいもあるかもしれないが、自分は何を言われようが高峰秀子が素晴らしい人であるから私は書く、と、声高に主張することの逆効果を当然理解しながらも、叫ばずにはいられない著者を不憫にも感じる。高峰さんの潔く美しい生き方は、著者の著してきたものを読むとよくわかる。著者が主観的・盲目的すぎるという批判的な見方は私自身はしていない。ただ、ではこの著者のことをどのように感じるかと自らに問うと、特に好きではない、という答えになる。著者は素晴らしい人(=高峰さん)から認められた人であるにも関わらず、少なくとも著作を読んで人間的な魅力を感じることはない。とても不思議な気がする。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年9月30日
- 読了日 : 2013年9月30日
- 本棚登録日 : 2013年9月21日
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