方丈記を読む (法蔵館文庫)

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  • 法蔵館 (2024年3月8日発売)
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感想 : 1
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 方丈記を読むのも何度目だろうか。学生時代に読んだときは、「ゆく河の流れは絶えずして」で始まるその文章のリズムであったり、いわゆる五大災厄(大火、辻風、都遷り、大地震、飢饉)の簡潔な描写に目を奪われたが、年を重ねるごとに、長明の綴る心情や慨嘆、そして無常といったことに心惹かれるようになってきた。

 本書は、『方丈記』の校訂本文、大意、原文に加え、解説を含んだ著者のエッセイにより構成されている。もちろん方丈記や長明に関連したエッセイなのだが、校訂に関することや、長明が参照した仏典や先行者の作品などの学術的なことから、現代の映画や音楽、小説についての感想など、話題が縦横に飛んで、読んでいて楽しくなる。

 これまでの注釈本では読み飛ばしていたのか、本書の解説の諸所で触れられているが、慶滋保胤の『池亭記』や白居易の詩歌を、本歌取りと言うか、長明が参照していることを知ることができたのは大きな収穫だったし、いろいろな読み方ができることを改めて実感した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月11日
読了日 : 2024年3月11日
本棚登録日 : 2024年3月11日

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