レモンの図書室 (児童単行本)

  • 小学館 (2018年1月10日発売)
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感想 : 66
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主人公カリプソは母を亡くし、父親と二人暮らし。父親は家にいるものの仕事に熱中し、カリプソは自分で食事を用意したりもするが、家にはろくに食べ物がないこともある。父親に一人で生きていけるように強い心を持てと言われ、友達もいない。本を読むことと物語を作るが唯一の楽しみだ。ところが、ある日同じように本が好きなメイと友達になる。


主人公自身ははじめあまり意識していないが、妻を亡くした父親が親として機能していない。また、経済的にも豊かではないと思われる。初めて友達ができたことで、そういうことが明確になっていく。友達は母親の名前から察するに日系で、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」(ブレイディみかこ著)でも述べられているように、イギリスで現在白人が貧しく他人種の方が豊かだということを連想させられた。
カリプソは自分だけの図書館を持っていて、これがうらやましい限り。いろいろな本のタイトルも出てくるので、読者が興味を持ってそれらの本を手に取るきっかけになるのでは。
友達のメイの家族は普通の中流家庭の家族に思われる。その普通の家族がカリプソたちを救う手助けをする。はじめは戸惑いながらも、表に出さず、手をさしのべ続けるメイのママが、親という立場から見てすごいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年8月5日
読了日 : 2020年9月16日
本棚登録日 : 2020年6月10日

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