キノの旅 (6) The Beautiful World (電撃文庫)
- KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2002年8月10日発売)
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キノの旅を読むとき、その連作の多くは旅のさなかにであったこと、起こったことである。そう考えると、登場人物は、人生のうちのある一点からある一点までの限られた時間の出会いであったり、事件であったりするということだ。キノはその旅に生活そのものをエルメスという会話するモトラドに積んで旅をする。目指す国に立ち寄るが終着点ではない。例えば、お遍路さん殺しの昔話のように、旅人を好意で泊めたようにみせて、金目の奪い殺し、大金持ちになった、というようなお話がでてきても、おかしくないのだが、そうはならない。それは、旅人視点のはなしだからだが、ある意味、それとは真逆の展開になるものもあって、旅をするということに焦点が定まっている。そこでは、相手も自分も変化しているようでもあり、もともと変わりないようでもあって激しくせめぎあっているようなのだ。Ⅵではキノの一行、シズと陸、それからもう一組の男女が登場する。この三組の登場人物は、それぞれ、性格違っていて、たんねんに描かれている。どこか、旅先で行き逢うことがあるのかもしれない。楽しみです。短編小説の連作は、バラバラのお話ではなく、相互に響きあっている。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年12月22日
- 読了日 : 2022年12月11日
- 本棚登録日 : 2022年12月11日
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