教えから学びへ; 教育にとって一番大切なこと (河出新書)

著者 :
  • 河出書房新社 (2021年7月22日発売)
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感想 : 21
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これまで出会ったどの教育本よりも分かりやすく、また深さに感動。親の願いも子どもの思いもまるごと吸い上げて、学校の未来を描き切る。汐見稔幸さんという方は教職や研究職にとどまらず、人の生き方を説く賢者だ。

ギリシア、ドイツ哲学や古事成語、果ては東西宗教に至るまで、見識の広さに加えて引用がわかりやすい。蛍光マーカーだらけの重要文が早口でゆったりと語られる。何かを掴みとったような気になってしまうが、咀嚼できるまで何度も何度も読み返したい。

抜粋したくても一冊まるごと素敵。その中から敢えて下の一文には、なんだか涙さえ浮かんだ。


──(語り婆のように絵本の読み聞かせでは)子どもたちのために心を込めて語り、子ども同士の心を作品の世界の中で結ばせ、少し騙して、最後に現実に戻ってこさせる─


なんて愛情深いぴったりな表現なんだろう。大人が真剣になって、少し騙す。子どもに対しムキになって理屈を並べなくてたって良いのだ。。ありがとう汐見先生。

我が家の語り部はアンパンマンからドラえもんになった。ここから手塚治虫にいって、とは親のエゴ。悲しいかなYouTubeに置き換わりつつあるが、子どもが寝る前だけはいつまでも読み語りしたい。語りは子どもとのどつきあいだ。
朗読の練習にも熱がこもる。Audibleナレーターになりたいわ。

学校に行かない子は自己選択児。学校教育は一本道ではない。マサチューセッツ工科大には音楽の授業もある。文理合一。
lessonからstudyへ。

子どもの自発的な学びや喜びを、大人はそっと添え手するだけでいい。理想論ではなく方法までイメージできるよう丁寧に説明してくれる。文句なしに名著。ブクログにも感謝。

車とトイレにも1冊ずつ買っとこ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月17日
読了日 : 2024年1月17日
本棚登録日 : 2023年7月5日

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