ブラックボックス

著者 :
  • 講談社 (2022年1月26日発売)
3.10
  • (43)
  • (163)
  • (294)
  • (98)
  • (43)
本棚登録 : 2851
感想 : 295
5

芥川賞
なんだよね?
にもかかわらず
この小説、めちゃくちゃおもしろいです(笑)

最後まで、ロードバイクの爆走の如く一気読み。

タイトルの「ブラックボックス」という言葉は、作中で「昼間走る街並みやそこかしこにあるであろうオフィスや倉庫、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようでいて見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。」と説明されている。

そしてそのわからなさは、
「帰路についているなかで、どこからともなく漂ってくるカレーとか煮物のにおい」のようだと。

そうなんだよね。
見えそうで、見えない。

他人の生活、心の中、全てはブラックボックスで、覗けるのは(もしくは、覗けた気になっているのは)ほんの一部だけだ。
世界は、ブラックボックスの積み重ねだ。
誤解を重ねた上に成り立っている。
さらに言えば自分も自分のブラックボックスを持て余しており、制御できない。

だから不安だらけだ。
だけど、この不確かさこそ、生きる本質であり歓びでもある。

だって、刑務所のような「制度」は未来を確たるものとして示すことができて安心だけど、やっぱり不愉快だもの。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年2月6日
読了日 : 2022年2月6日
本棚登録日 : 2022年2月6日

みんなの感想をみる

コメント 4件

naonaonao16gさんのコメント
2022/02/06

こんばんは~

どうやら芥川賞っぽくない作品と話題ですよね!気になってます

先日健診で諸々絶望してトレーニング再開したのですが、腹筋やってるのに腰が痛いです(笑)

たけさんのコメント
2022/02/07

naonaoさん、おはようございます!

芥川賞っぽくない作品と話題なんですねー
どうりで…

読みやすいですが、しっかり芯はある、そんな作品です。ぜひ。

腹筋やって腰痛めたんですか…久々にやるときは無理しないでくださいね。応援してます笑

naonaonao16gさんのコメント
2022/02/07

おはようございます!

そうなんです!話題です!
取り上げられている職業も現代的で、現代の芥川賞っていう感じらしいです

より続けるために前より短めのやつにしたんですが、短時間でやる分、きついです…笑

たけさんのコメント
2022/02/07

なるほど。現代の芥川賞ですか。
自転車メッセンジャーは確かに現代的な職業ですかね。まあ、取り扱っているテーマは普遍的なものと感じました。どちらかと言うと肉体派小説かな。けっこうサラッとしていて、そこが現代的なのかも。遠野遥さんの「破局」をほんのちょびっと彷彿させました。

強度強めのトレーニングなんですね。
きっとくびれがすごいことになっちゃいますね笑
ただ、腰は気をつけて!

ツイートする