芥川賞
なんだよね?
にもかかわらず
この小説、めちゃくちゃおもしろいです(笑)
最後まで、ロードバイクの爆走の如く一気読み。
タイトルの「ブラックボックス」という言葉は、作中で「昼間走る街並みやそこかしこにあるであろうオフィスや倉庫、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようでいて見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。」と説明されている。
そしてそのわからなさは、
「帰路についているなかで、どこからともなく漂ってくるカレーとか煮物のにおい」のようだと。
そうなんだよね。
見えそうで、見えない。
他人の生活、心の中、全てはブラックボックスで、覗けるのは(もしくは、覗けた気になっているのは)ほんの一部だけだ。
世界は、ブラックボックスの積み重ねだ。
誤解を重ねた上に成り立っている。
さらに言えば自分も自分のブラックボックスを持て余しており、制御できない。
だから不安だらけだ。
だけど、この不確かさこそ、生きる本質であり歓びでもある。
だって、刑務所のような「制度」は未来を確たるものとして示すことができて安心だけど、やっぱり不愉快だもの。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年2月6日
- 読了日 : 2022年2月6日
- 本棚登録日 : 2022年2月6日
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コメント 4件
naonaonao16gさんのコメント
2022/02/06
たけさんのコメント
2022/02/07
naonaonao16gさんのコメント
2022/02/07
たけさんのコメント
2022/02/07