世界の小説を読む第24冊目南アフリカ
なかなか感想を持ち辛い作品だった…。情欲を抑えきれず、教え子の一人に手を出し、非を認めない強情さから退職に追い込まれた大学教授の主人公。田舎で畑を耕し細々と生活を営む一人娘の下に転がり込むが、ようやく馴染んできたと思ったのも束の間、強盗三人に襲われてしまう。「享受」がテーマなのかな、と漠然ながら思った。以前程魅力的ではなくなった自分の老いへの恥辱、不名誉な退職を余儀なくされ誰もからも蔑まれる恥辱、都会から田舎へ都落ちをせざるを得ない恥辱、娘を陵辱されあまつさえ妊娠させられてしまう恥辱、アパルトヘイト時代であれば使役していたであろう黒人に庇護される恥辱、こうした数々の恥辱に対して怒りをぶちまけ拳を振り上げるのではなく、一切を受け入れるまでの過程が、最後の犬の安楽死のシーンで描かれているのであろう。死と同様逃げられるものではないのだから。シンボリズムやテーマが多過ぎて咀嚼しきれなかったので、もう一度メモを取りながら分解して読む必要がありそう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
世界の本
- 感想投稿日 : 2016年11月7日
- 読了日 : 2016年11月7日
- 本棚登録日 : 2016年11月7日
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