県庁おもてなし課

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年3月29日発売)
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◎ ブクログ夏の特別座談会 “「県庁おもてなし課」を読んで行政を語ろう?”

高知県庁観光部に新設された『おもてなし課』を舞台に主人公・掛水が高知県の観光活性化に奔走する姿を描いた有川浩さんの傑作「県庁おもてなし課」。この作品を読んだお二人で、その内容を語り合ってもらおうというのがこの企画。ブクログきってのにわか読書家にして感想家でもある一般人・さてさて氏が、大学時代の友人で現在某県庁にお勤めのさて夫さんとともにこの作品を読んで語り明かしてくださいました。司会は、ブクログ編集部のさて代が務めさせていただきます。では、今回も行ってちょんまげ!

さて代〈今日は、ブクログの座談会企画にご参加いただきありがとうございます。ブクログ編集部のさて代です。よろしくお願いします。さてさてさんにはブクログの特別企画に何度もお越しいただきありがとうございます〉
さてさて〈いや。こちらこそ。定期的に呼んでいただいてありがとうございます。今日は、友達を呼んでいいということだったので、大学時代の悪友、いや、親友のさて夫に声をかけさせてもらいました〉
さて夫〈悪友って何言うてんねん、お前が悪友やんけ。あ、すんません、さて夫です。今日はお招きありがとうございます〉
さて代〈今日は事前に有川浩さんの「県庁おもてなし課」をお読みいただきました。この作品を元に、この国の行政のあり方を語っていただきたいと思います〉
さてさて〈私は行政なんて語れないので、某県の県庁に勤めるさて夫に来てもらった次第です〉
さて夫〈匿名やからな。某県やからな。言うたらあかんで。写真もお断りしますから。上司にバレたらヤバイから〉
さて代〈ご安心ください。ブクログ編集部は、口が固くて有名ですから。では、行数がないのでさてさてさん、まずは口火をお願いします〉
さてさて〈はい。今、さて夫が、上司にバレたらって言ってたけど、この作品でも、『上司に鬱陶しがられ』たという清遠和政(きよとお かずまさ)が閑職に追いやられてしまうところから物語は始まるんだよね〉
さて代〈二十数年前の出来事として、高知県と高知市がそれぞれに動物園の整備を進めようとしていた時に、当時、観光部の若手だった清遠が『パンダ誘致論』を主張します。でも、あまりに力説しすぎて、保守的な庁内の声を前に、閑職に追いやられてしまうんですよね〉
さてさて〈そもそも動物園の整備をするのに、いきなり『パンダ誘致論』ってのも強烈な気がするけど、県庁ってやっぱりこの作品みたいな雰囲気の場所なの?〉
さて夫〈時代もあるんやろうけど、せやな、ウチもこんなもんやろな〉
さてさて〈そんな冒頭の後、それから二十年後の県庁が実際の舞台になるんだけど、『観光立県を目指し、県外観光客を文字通り「おもてなし」する心で県の観光を盛り立てよう』という発想で、いきなり『おもてなし課』って部署を設けるんだよね。高知県。センスは凄いと思うけど。さて夫の県もこんな大胆な名前の課ってあるの?〉
さて夫〈ウチにはないかなあ。そもそも『おもてなし』って、なんかオリンピックみたいやん〉
さて代〈お・も・て・な・し、ですね〉
さてさて〈さて代さん、ノリがいいね。今までブクログ編集部の人って言ったら、さて美さんとかさて子さんとか、固い人ばっかりだったから、今日は良かった。ゆっくり話せますね〉
さて代〈いえ、それはダメです。引き継ぎを受けています。さてさてさんはすぐに感想が長くなるので気をつけるようにって〉
さてさて〈げっ。バレてるのか。もしかして、編集部ではまだ感想の上限文字数を設定して、私から言葉を奪おうとか酷いこと考えてたりするの?〉
さて代〈さあ、それは秘密です〉
さてさて〈げ、やめてくださいね。そんなことしたら、読書メーターに引っ越しちゃいますよ〉
さて代〈大丈夫です。さてさてさんが上限255文字で感想を書くなんて絶対できないですから〉
さてさて〈そうかなあ。制限があればあったで燃える性格なんですけどね。最近、ブクログの新機能・ブックリストで短くサクッとまとめることにも燃えてるんですよね〉
さて代〈さてさてさん、たくさん書いてらっしゃいますもんね。ありがとうございます〉
さて夫〈お前ら、何、脱線してんねん。はよ、進めよやー〉
さて代〈し、失礼しました。では、進めましょう。この作品では、その『おもてなし課』の一番の若手職員であり主人公の掛水史貴(かけみず ふみたか)が、県の観光特使に就任してもらった作家の吉門喬介(よしかど きょうすけ)からアドバイスを受けながら県の観光活性化に走り回る姿が描かれていきますね〉
さて夫〈ウチの県でも似たような制度があるんやけど、こんなに色んなこと言ってくれる人おらんと思うで。作家ってこんな感じなんかな?〉
さてさて〈というか、もう一人の主人公を作家にするっていう設定が面白いよね。しかも舞台が高知県。男と女という違いはあるけど、まるで有川さんご本人みたいだね〉
さて代〈さてさてさんは、有川さんのことを男性って思ってらしたんですよね〉
さてさて〈どうしてそれを〉
さて代〈だって、「図書館戦争」の特別対談企画で自分からバラしてるじゃないですか〉
さてさて〈えっ、あれ読んだんですか?〉
さて代〈当たり前です。ブクログの企画なんですから〉
さて夫〈おまえ、人を名前だけで判断したらアカンで〉
さてさて〈二人揃ってうるさいなあ。でも、もし気づかずに読んでたら、この吉門って作家は有川さんそのものだ、とか感想に書いて恥を書いてたかもしれないから、危なかったよ〉
さて夫〈まあ、そこはプロやし、有川さんクラスになると、性別なんか関係なしに、どんなシチュエーションでも書けるんちゃうか〉
さてさて〈ちゃうか…で思い出したけど、この作品では登場人物が高知弁バリバリで語るのが、個人的にはちょっときつかったかな〉
さて夫〈何でやねん?〉
さてさて〈いや、読みづらくて、それでなくても有川さんは漢字が大好きな作家さんだから、漢字だらけで読みづらいのに〉
さて夫〈漢字?例えば?〉
さてさて〈”敵愾心”とか、”穿って”とか、”孕んで”とか、こんな漢字というか言葉使われてもね。“てきがいしん”、”うがって”、”はらんで”って、さて夫は読めるのか?私はふりがながなくちゃとても読めないし、そもそもふりがながあっても意味がよくわからない…〉
さて夫〈なるほどな。確かにオレも読めへん。感覚で飛ばしながら読んでたんかも知れん〉
さてさて〈だろ?難しい漢字だらけの文章の中に方言まで入るから、読書スピードが全然上がらなくて、読んでいてかなりストレスを感じたのは事実かな〉
さて代〈さてさてさんは読書スピードが早すぎるんじゃないですか?一年ほど前までは毎日レビューをアップされてましたよね〉
さてさて〈まあね。あの頃は毎朝レビューをアップしなくてはと使命感に駆られていて、毎晩徹夜で読書をして、朝に寝ぼけながら必死でレビューを書いていたから、正直きつかったですね〉
さて夫〈お前、大学の時もそんな感じやったな。めっちゃ凝り性や、それでいて飽き性。よく今日までブクログのレビュー書き続けてるなあ〉
さてさて〈いやあ、フォローいただいている皆様に楽しんでいただきたい、それだけを考えて生きています!〉
さて夫〈何カッコつけてんねん。アホちゃうか〉
さて代〈ゴホン!お二人とも脱線してますよ。行数が無駄に多くなっています〉
さてさて〈すみません。進めます。それで、とにかくこの作品、文庫本で460ページもあることもあって、読み終わるのに凄い時間がかかってしまいました。方言がとにかくキツかったです。『あたしは喬兄の何をどれだけ知っちょったがやろう』とか、『高知のことで本を書くのが一番直接的に、広報的な意味で貢献できるがやないろうかと』とか、読んでいて引っかかりまくりというか。読書のリズムが非常に作りづらい作品だったのは間違いないです〉
さて夫〈何言うてんねん。方言で書いてあるから味があるんやないか〉
さてさて〈まあ、さて夫の方言は慣れたけどさ〉
さて夫〈何気取ってんねん!〉
さて代〈あのー。また、話題がそれてしまっているような…〉
さてさて〈す、すみません。そうでした。ところで、この作品で面白い言葉が出てきました。『外貨』っていう言葉の使い方〉
さて夫〈『観光で「外貨」を稼ぐこと、それが観光発展の最終的な目的のはずだ』っていうやつやな。ウチの県もそやけど、他県からどれだけ来てもらえるかっちゅうか、どれだけお金を落としてもらえるかって、話は庁内でもよう出るで〉
さてさて〈やっぱりそうか。そもそも、国自体が外国からの観光客を増やせ!増やせってやってたしね〉
さて夫〈新型コロナで吹き飛んだけどなあ〉
さて代〈それで、この作品の主人公である掛水の後押しをする役割で登場するのが、二十年前に『パンダ誘致論』を推進して、結局退職に追い込まれた清遠さんでしたね〉
さてさて〈さて代さん、強引に脱線を戻しましたね(笑)〉
さて代〈だから、行数が長くなると、読者の皆さんが読み飛ばしちゃうんですよ。それじゃあ、頑張って座談会企画をやっても悲しいじゃないですか〉
さて夫〈編集者さんって、怖いねんな〉
さて代〈何か?おっしゃいましたか?(キリッ!)〉
さて夫〈あわわわ。すんまへん。なんも言うてません〉
さてさて〈だから、何、二人で行数使ってるんですか。編集部の人も当てにならないね〉
さて代〈ごめんなさい。進めてください〉
さてさて〈はいはい。この作品では、作家の吉門が『お役所体質』に浸っていた掛水に鋭い指摘をしていくところが面白いと思いました。ところで、さて夫の視点では吉門のどの指摘が”あるある”だった〉
さて夫〈せやなー。『タテ割り・縄張りでぐじゃぐしゃ揉めてんの?』という指摘は、きっつーと思ったわ。役所って、どうしても部署の壁っちゅうのが高いねん。これは簡単には越えられへん〉
さてさて〈吉門の具体的な提案はどう?〉
さて夫〈パンフレットの指摘が面白いなあ。お役所が作ったパンフレット類を『読者不在』と一刀両断にするところ。『相手を想定していない編集やレイアウトが多すぎ。客に手に取らせようって意欲がないんだ、このパンフ』って、ドキッとしてる同僚の顔が浮かんだわ。確かにお役所って、それを誰かに読んでもらおうっていう視点が足らん気がする。小ちゃい字で、こっちが言いたいことを山ほど書くことが多いねん。県民から突っ込まれたら怖いから、細かいとこまでくどくど書くからっちゅうのもあるんやけど〉
さてさて〈まあ、編集のプロじゃないから仕方ないんじゃないの〉
さて夫〈まあそれもあるけど、パンフレット類の置き場所の指摘が、せやなーって思うた。『県庁以外では実際どこに置いてあるの?』と吉門に聞かれて『観光施設とか主要な交通機関の案内所とか。各地域の支所とか、県外なら出先機関でも手に入ります』って掛水が答えてるけど、『俺ならそんなとこにわざわざ足運んだり問い合わせたりしないんだけど』ってバッサリ切られて、掛水はタジタジになるやろ。そう言われたらせやなーって思うた。観光に行った先で、役所の支所とかにパンフレットなんかもらいに行かへんもんな〉
さてさて〈有川さんって他の作品もそうだけど、リアル世界に容赦のない切り込み方をする人だからね。エッセイの「倒れるときは前のめり」も鋭かったし、最近読んだ「アンマーとぼくら」では、高知の『はりまや橋』を日本三大がっかりだ!ってぶった斬りをしてますからね〉
さて夫〈オレも読んだけど、こんなに高知県を馬鹿にしてもええのか?って思うたけど、よう考えてら、有川さん、高知県出身やん!って思い直して読んだら、ものすごい高知愛を感じたで。ああやって、落としているように見えて実は高知県を宣伝してんねんな〉
さてさて〈なるほどね。その視点から見たら、この作品なんて、もう高知県のPR本と言ってもいいかもしれない〉
さて夫〈せやせや。こんな本書いてくれる作家さんがウチの県の出身者にもおらんやろか〉
さて代〈確か、さて夫さんの県にお住まいの作家さんだと、みなと…〉
さて夫〈あわわわわ。言うたらアカンって。県の名前がバレてまうやろ。あんた編集部の人やのにしっかりしてんか〉
さて代〈し、失礼しました。口が滑りました〉
さてさて〈まあ、さて夫も方言丸出しだから、どこの県か、かなり絞れてると思うけどね〉
さて夫〈ヤバイなあ〉
さてさて〈大丈夫だって〉
さて代〈有川さんは、「明日の子供たち」もそうですが、こういった社会問題を扱うような作品も定評ありますよね〉
さてさて〈そうですね。有川さんならではの切れ味の鋭さが生きてる気がする。例えば、この作品では『おもてなし課』というネーミングは評価したものの『配属された職員は、よくも悪くも公務員であった。ー悲しいほどに』なんてキツい!書き方で容赦なく公務員を落としてるからね。さて夫は、公務員の側でそんな風に言われて怒らないの?〉
さて夫〈まあ、ちょっと煽りすぎやとは思うけど、否定はできへんな。もちろん、オレはちゃうけど〉
さてさて〈お前の課の人に聞いたら、結局みんなそういうんじゃない。自分は違うって〉
さて夫〈偉そうなこと言うな。お前やって変わらんやろ〉
さてさて〈いや、そんなことないね。お前とは違う〉
さて夫〈なんやて!いつからそんなに偉なってん!〉
さて代〈まあまあ、お二人とも喧嘩で文字数を取らないでください〉
さてさて・さて夫〈結局、それかい!〉
さて代〈はい!読み飛ばされたらこんな企画意味ないし、さてさてさんをフォローしてくださってる人がフォローの解除ボタンを押しちゃいますよ!〉
さてさて〈や、それはヤ、ヤバイ。せっかく繋がってくださったんだから〉
さて代〈じゃあ、無駄口はやめて続けましょう。この作品は確かに”お役所改革!”という内容で展開する物語ですが、実際には、二組のカップルの恋愛物語とも言えますよね〉
さてさて〈そうですね。最初そんな風には思わなかったんだけど、途中からどんどん二組のカップルの愛の行方に光が当たるようになって、やっぱり有川さんだなあと思いました〉
さて代〈なんだか恋愛に不慣れで初心な二組って感じですよね。好きってハッキリ言えばいいのに、もったいぶる感じで〉
さてさて〈でもこれこそ有川さんって感じがしないですか?いきなり、おおおっ!っていう濡れ場が登場したりしたら、有川さん、どうしたのって思うだろうし〉
さて代〈そうですね。私、佐和の内面描写でとても気にいった表現があるんです〉
さてさて〈どんなの?〉
さて代〈ちょっと長いんですがいいですか〉
さてさて〈ダメって言ってもあなた編集部の人なんだから〉
さて代〈はい、では紹介しちゃいます。『頼りない糸の端を指に絡めて、何気ないふりを装って過ごしながら、糸をなくさないように必死で握り込んできた。もしかしたらその糸は、いつか指から離れて見失っていたかもしれない。お互い積極的に糸をたぐり寄せようとはしなかった』っていう箇所です。なんだか切なさで胸がキューっとなってきて、思わず佐和を応援したくなっちゃった〉
さてさて〈佐和さんって、物凄く気の強い女の人ってイメージだったからその裏返しで心の内をこんな風に見せられると効果抜群だよね〉
さて夫〈そうそう、その盛り上がった先、結末に喬介が佐和に言うんやったな。ストレートに、好きや。帰っ…〉
さて代〈ダメーっ!ストップー!ワーワーワー!〉
さて夫〈なんやねん。急に大っきい声出して〉
さて代〈さて夫さん、今、二人が結末にどうなるかを話そうとされましたよね〉
さて夫〈せやけど。何が悪いねん〉
さてさて〈”ネタバレと二度漬けは禁止ですからー!”〉
さて代〈キャー!〉
さて夫〈なんやねん。うるさい奴や〉
さて代〈だって、さてさてさんが特許を申請されてる有名な決め台詞の登場ですよ!生で聞けるなんて、私、し・あ・わ・せ!〉
さて夫〈あんた、その言い方好きやなー。さてさて、お前、関西人でもないのに、なんで関西人みたいなネタを使うねん。ズルイやん。この人キャーキャー言ってはるし。目がうっとりしとるで〉
さてさて〈ハハハハ。先に言ったもん勝ちよ。長いブクログの歴史で、こんなことレビューで書いたの私だけだから〉
さて夫〈特許申請中って、それって特許ちゃうやろ〉
さてさて〈商標登録を申請したなんて言ってもぴんとこないからね。ネタってことで〉
さて夫〈お前、そんなキャラやっけ?〉
さて代〈まあまあ、お二人とも、またこんなことで文字数を取ってますよ。さてさてさん、皆さん画面を閉じちゃいますよ。知りませんよ、私〉
さてさて〈あなたが、キャー!とか言うからでしょ。そもそもね。ブクログは文字数無制限だからいいんですよ。読書メーターの255文字制限のストレスでブクログに逃げてきた人もいるんだから〉
さて夫〈はあ?どこにそんな統計あんねん?〉
さてさて〈いや、それは…想像で…モニョモニョ〉
さて夫〈なんやねんそれは。適当なこと言うたらアカンで〉
さて代〈まあまあ、さて夫さん。そのへんで。ところで、今日はさてさてさんの決め台詞も久しぶりに登場して、読者の皆さんも満足されていると思うのでもう座談会を締めてもいいんじゃないですか?〉
さてさて〈まあ、そうですね。じゃあ、いつもの通り最後はしっかり締めさせてもらいます。「県庁おもてなし課」という高知県庁に実在する部署の職員たちが、従来型の『お役所仕事』から抜け出して、地元に観光客を呼ぶことに邁進していく様を見るこの作品。高知県出身の郷土愛に満ち溢れた有川さんが、同業とも言える作家をもう一人の主人公として登場させ、職員たちに刺激を与えながら展開する物語は、『水を出しっぱなしの蛇口はまだ締まっていないような気がした』と、職員たちに気づきの機会を与えることによって、自らが持っている本来の力を引き出す役割を果たしていく姿を見るものでした。どこの組織にも大なり小なり存在する縦割り意識、『求められたのは創造性や柔軟性よりも硬直性だ』という旧来型の組織が変わっていく様を見ることは、読者それぞれにも問いかけがなされているのではないか、決して他人事ではない組織のあり方を考える機会をくれたのではないか、そんな風にも感じました。物語の中に展開される二組のカップルの愛の行方を有川さんならではのキュンと切なくなるような演出を絡めながら展開する物語は、とても読み応えのある恋愛物語という側面も併せ持っていたと思います。そして、この作品によって間違いなく魅力を増し、認知度を増したのが高知県でしょう。そう、この作品は郷土愛に満ち溢れた有川さんが、そんな故郷の高知県を盛り上げるために書き下ろされた作品。有川さんの郷土愛の深さに読者が圧倒され、高知県ってこんなところなんだ、高知県って楽しそう、そして、高知県に行ってみたい!と、知らぬ知らぬの内に読者はすっかり有川さんの術中にハマってしまっていることを知ることになるこの作品。一流の作家さんの故郷への愛の力と筆の力の凄さを思い知った、そんな作品でした〉
さて代・さて夫〈………〉
さてさて〈あれ、どうしたの二人とも〉
さて代・さて夫〈………〉
さてさて〈私、変なこと言いましたっけ?〉
さて夫〈いや、なんちゅうか、お前、すごいやん!オレ、感動したわ。めちゃくちゃカッコええやん!〉
さてさて〈お前が褒めてくれるとは。素直にありがとう、って言った方がいいね〉
さて夫〈何、カッコつけてんねん。さて代さんなんか泣いてるやん〉
さて代〈さてさてさんのレビューの締め括りっていつもグッとくるんですよね。生で聞けて嬉しいです!〉
さてさて〈あ、ありがとうございます。光栄です〉
さて代〈光栄だなんて。私、私…〉
さて夫〈ありゃりゃ。またグダグダになる前に締めたらええんちゃうか?編集部のさて代さん!〉
さて代〈あ、そ、そうですね。そう、今日はお二人ともお忙しい所ありがとうございました。さて夫さんには、わざわざ兵庫県からお越しいただきありがとうございました〉
さて夫〈あ、言うてもうたやん。なんで最後にさらっと県の名前を言うねん!”ネタバレと二度漬けは禁止やん!”〉
さて代〈関西弁の決め台詞!ぜいたくですねっ!〉
さてさて〈特許だって言ってるでしょ。親友でも勝手に使うなよ。そもそも、お前の出身地はネタちゃうやん〉
さて夫 orz orz orz
さて代〈なんだか、グダグダで、締められなくなってきた…もう、勝手に締めちゃおうっと。では、皆さん、またお会いしましょうね!〉

またね~ (_´Д`)ノ ))フリフリ !!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 有川浩さん
感想投稿日 : 2021年7月17日
読了日 : 2021年4月14日
本棚登録日 : 2021年7月17日

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コメント 2件

アールグレイさんのコメント
2021/07/17

さてさてさん
今回は趣向を凝らしてありますね~(^_^)
私も前に読んだ本です。なのに最近いいねがよくついています。
これ からも期待していますよォ~
☆good night☆

さてさてさんのコメント
2021/07/18

ゆうママさん、いつもありがとうございます。
定期的に企画もののレビューを入れています。有川さんの作品は、企画ものがやりやすいなあと感じています。500ぺージもあるのに一気に読ませる構成力、本当に上手い作家さんだと改めて思います。引き続きよろしくお願いします!

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