培われた能力は本人の努力だけでなく、その人の出自、家庭環境などの環境に依るところもあるのに、そのことに無自覚な一部のエリートは能力のない者を「努力不足」と一蹴し、社会で分断を生んでいる…という話。
イギリス、オランダ、ベルギーで行われた調査(その後アメリカで似た調査を行っても結果は同じ)で分かった、大学教育を受けた回答者は教育水準の低い人々に対するマイナス感情が、その他の不利な立場にある人々(宗教や人種、貧困、身体的不利など)よりも大きい、という結果が印象に残った。人種差別やジェンダー差別などは許されないという真っ当な価値観が共有され始めている中で、最後まで許される差別が学歴である。なぜならそれは個人の努力次第だからである、という考えが透けて見える結果であった。
世の中には「努力すれば願いは叶う」なんてとてもじゃないが考えられないという人がたくさんいる。そのことに思い当たらない傲慢さは社会に軋轢を生む、ということは当たり前といえば当たり前だと思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
人文
- 感想投稿日 : 2021年7月3日
- 読了日 : 2021年4月18日
- 本棚登録日 : 2021年4月18日
みんなの感想をみる