借りたもの。
現在、私たちが直面する12個の問題について学生がディスカッションしていく。
それは問題解決の糸口を探すものではなく、フェルミ推定型の方法でまとめられている。
意図するところは学生たちに「問題構成力」――「そもそも…とはなにか」という定義を説明・探求する気づき――と「批判的思考力」――自分の意見を述べるときは相手との共通点や相違点を明確にしながら、誰にでも理解可能な形で言語化する最低限のルール――を養う事。
掲載されている議題は12個。
1.気候工学は倫理的に許されるか
2.成人年齢は引き下げるべきか
3.速く走れる人間をつくっても良いか
4.芸術に進歩はあるか
5.人工知能研究は人為的にコントロールすべきか
6.民主主義は投票によって実現できるか
7.軍事的安全保障研究予算をもらってもよいか
8.絶対に人を殺してはいけないか
9.学問は社会に対して責任を負わねばならないか
10. 自由と公共性は両立するか
番外編.議論によって合意に達することは可能か
最終章.プライバシーと治安は両立できるか
どの問題も、何か解決策や指標が見いだされるというよりも、現在の言葉の定義の探求と提起された問題のグレーさ故の良くも悪くも様々な可能性が言及される。
問題の「何が問題か?」を再確認する作業だった。
それは‘リベラルアーツの主たる要素である「複数の立場を自在に往復する柔軟さ」(p.300)’を養うためのステップだった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
教養
- 感想投稿日 : 2022年1月15日
- 読了日 : 2022年1月15日
- 本棚登録日 : 2021年12月13日
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