ふかわりょうのアイスランド紀行エッセイ。
とても良い。何が良いかって言うと、ふかわりょうの感性に凄く共感できる。
文明に囲まれた生活のせいで忘れていた自然の素晴らしさに、改めて気付いた瞬間の感動と興奮とか。
特別「こうしよう」と思ってやったわけじゃない行動が、思いがけない幸せを運んでくれた時のとんでもない嬉しさとか。
新しい街への好奇心と、何度も訪れた事のある大好きな街の安心感との間で揺れ動く心とか。
中でも、一番共感したのは「音楽が記憶してくれる」って話。見た景色や心に浮かんだ感情を、その時に流れていた音楽に残すっていうね。
確かに私も、tofubeatsの『水星 feat.オノマトペ大臣』聴くと思い出すもん。新入社員研修で2ヶ月缶詰にされてた時のこと。
研修所の外に買い物に出るにも申請がいるから、なんかもうどうでもいいやって気持ちになって、休みだってのにどこにも行かず、ベッドが4つ並んだだけの監獄のような部屋から見てた小さな富士山。4階の部屋からは晴れた日なら遮るもの無く見る事ができて、「あの麓まで行けば友達に会えるのにな〜」と思っていた7年前の春。同じ部屋の残り3人は関東出身で金曜の夜は帰宅するから、土曜の午前中は1人で洗濯とか掃除とかしながら、密かに持ち込んだポケットWi-FiでYouTubeから流してたんだよなー。
懐かしい。確かに音楽が記憶してくれてる。そういう曲が増えるのって良いよね。色んな人の中に眠っている、曲とその時の話、聞いてみたいよね。
てな感じで、わかるな〜って事をすごく丁寧に、清らかな言葉で書いてくれてる。
このご時世だからアイスランドに行くのは難しいけど、この本読むと、実際にアイスランド行った場合の4割くらい浄化される気がする。
そんな優しい本。
- 感想投稿日 : 2020年10月14日
- 読了日 : 2020年10月14日
- 本棚登録日 : 2020年10月14日
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