出世と恋愛 近代文学で読む男と女 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2023年6月22日発売)
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本棚登録 : 248
感想 : 25
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斉藤美奈子に外れなし!
ほとんど読んだことがない遠い遠い近代文学なのに(恥ずかしながら取り上げられた本で読んでいたのは2冊だけ…)斉藤美奈子さんの手にかかれば、ものすごく身近に感じられる。
すぐにも読みたい、読み直したい!
斉藤美奈子の男性作家への一刀両断ぶりが面白くて何度も笑った。「浮雲」も「近代文学の祖といあわりに、意外とチンケな物語である」このセリフがいきなり序章にある(笑)

一番読んでみたいと思ったのは、菊池寛「真珠夫人」
こんなに痛快な小説だったとは知らなかった。特に前半の瑠璃子の活躍ぶりはものすごいね。「真珠夫人」を語る斉藤さんの筆も冴えてます。切れ味抜群でノリに乗ってる。こんな紹介のされ方をしたら、読みたくなるよね。

宮本百合子「伸子」の台詞に対しても
「〈関さん、あんた方の運動が人間から貧乏をなくするように、こう云う苦しみ(恋愛の苦しみ)をもなくするのでなかったら、結局何になるんでしょう〉〈それごマルキシズムの理性なんですか。あんた方が口癖にしていらっしゃる正しい認識と云うのはそれなんですか〉
世界中の「主義者」に聞かせてやりたい台詞である」

斉藤美奈子さんのユーモア精神は、知性を使った遊び方の見本のようだ。斉藤さんの本で未読のものを読もうと思う。読まないのは勿体無い!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月22日
読了日 : 2024年1月22日
本棚登録日 : 2024年1月22日

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