反省させると犯罪者になります (新潮新書 520)

著者 :
  • 新潮社 (2013年5月17日発売)
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本棚登録 : 1982
感想 : 233
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<感想>
刑務所の受刑者に対する矯正手法について書かれた本である。しかし、手法としてはコーチングに近く、一般のサラリーマンにとっても学びの多い一冊だ。
本書籍で定義する「反省」は、指導者側の型に合わせる行為であり、自身の行為の振り返りとは一線を画す言葉として扱われている。
受刑者にとっての第一歩は、受刑者自身の内面と対峙する「内省」であり、そこを飛ばして型にはめる行為には矯正の効果が無いのだ。
他人を理解するためには、自分の理解が必須だと理解できた。

<アンダーライン>
・「後悔」が先、「反省」は後
・受刑者が被害者に抱く否定的感情
・あいつ(被害者)さえいなければ、俺(加害者)はこんな所(刑務所)に来ることは無かった
・問題行動が出たときは「支援のチャンス」
・問題行動は「必要行動」
・反省は「自分の内面と向き合う機会」を奪うこと
・否定的な感情を吐き出すことが出発点
・自分を強く見せることによって、他者に認められること」で自分自身の愛情欲求の埋め合わせをするのです。
★★他者から「男らしくて格好いい」と思われることは、満たされていない彼らの愛情を求める欲求の代償となっているのです。
・自分の傷つきに麻痺している
・自分自身が傷ついているから、他者を傷つけられるのです
★★★皮肉なことに、幸せを感じれば感じるほど、それに伴って、苦しみも強いものになっていきます
★我慢することは、「人に頼らない態度」を身に付けることになり、他者との間に良い人間関係を築けなくなります。
・「人に迷惑をかけないこと」が当たり前と思っている人は、人に迷惑をかけられる人(人に甘えられる人)」を見ると、腹が立ってくる
★★私たちは自分自身がどういった価値観を持っているのかに気づいておく必要があります。一つの方法として、私たちが他者のどういった言動に対して不快感や嫉妬といった感情を抱くのかが判断材料になります。
・「子供っぽさ」を出せるということは、「しんどさ」を発散させてくれます。
・指示・命令を多く受ければ受けるほど、それだけ内発的な「道徳観」というものを持てなくなるからです。
★「親なんだから、子供の前では弱音を吐いてはいけない」と思い込んでいると、子供は弱音を吐けない人間になるかもしれません。
・「ありがとう」や「うれしい」という言葉が言えない人は、素直に他者に甘えられない人なのです。素直に他者に甘えられないということは、その人がそれまでの人生で他者に甘えられた経験に乏しいからです。
・問題が起きるのは、相手から思ったような反応が返ってこなかった時です。そういう時は、容易に「怒り」の感情を出してしまいます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: メンタル
感想投稿日 : 2021年1月23日
読了日 : 2021年1月23日
本棚登録日 : 2021年1月22日

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