日常、何気なく使っている言葉遣いから、よくよく考えてみると不思議な表現を見つけて紹介していく。著者は、言葉の不思議な使い方に注目することで、見聞きしたことを伝えるツールではなく、新しい現実を作り出すものとして、言葉を捉え直そうとする。言葉の不思議に対して、一般的な感覚に根差した楽しみ方が書かれているところが面白かった。
例えば、「なぜ『辞書』を『ひく』のか?」「どのうような想像力が働いて、あだ名はつけられているのか?」。普段、何気なく目にしている表現から、こうした疑問見つけ出して、その理由を説明していく。説明の仕方は、「引く」の典型的な意味から、意味が広がりを追っていったり、喩え方の違いから説明したり、それでいて小難しい専門用語を使うことなく説明されていて、読みやすい。
個人的には、14章の「こんにゃく問答」の話が面白かった。「ことばには、いちおう意味が決まっていますから、勝手な解釈はできないわけです」という時の、この「いちおう」「決まっている」という言葉に対するスタンスが、本全体の言葉の意味の広がりを楽しむ基本的なスタンスになっているように思う。
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- 感想投稿日 : 2023年3月2日
- 読了日 : 2023年3月2日
- 本棚登録日 : 2023年2月27日
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