ナニワ金融道(4) (講談社漫画文庫)

著者 :
  • 講談社 (1999年4月8日発売)
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本棚登録 : 198
感想 : 7
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【粗筋・概要】
アカ信が帝国金融の滌除の申出を受けたため、帝国金融は肉欲のビルを完全に取得する。自社ビルの一室に住むことになった灰原は、ひょんなことからテナントの誇大広告社でテッシュ配りのアルバイトをする羽目になる。そこで灰原は市原朱美と知り合う。そんななか、奈良で農業を営む山川与太郎は、息子が起こした追突事故の被害者に支払う賠償金を工面するために、帝国金融に200万円の借金を申し込む。一方、大阪の運送屋・浦金喜太郎は、所有不動産を担保に帝国金融に5000万円の融資を申し込む。灰原ら帝国金融は、この二人の債務者を結びつけ一儲けを企む。80発目「今日から大家!」から107発目「儲けても帝国金融が持っていく」までを収録。

【感想】
追突事故の相手がヤクザであり、農業のこと以外には疎い田舎者である山川一家は、被害車の腹黒とその仲間によって無理難題をふっかけられ骨の髄まで搾り取られてしまう。山川一家が、保険会社だけを頼りに、ほとんど自分たちで賠償問題を解決しようとするのが、そもそもの間違いだと思う。保険会社のアジャスター・渋井が頼りにならないだけに、法律家に相談すれば、損害はより抑えることができたのではないだろうか。法律家の助言があれば、例えば、全額賠償の念書(全賠の約束)に対して錯誤無効を主張することもできただろうし(裁判で主張しても認められるか怪しいが)、金銭を受け取っていない以上、借用書があっても金銭消費貸借契約の不成立も主張できるだろう。法律家が山川一家の側にいたら、腹黒たちは好き勝手なことはできなかっただろう。

もっとも、最終的には棚ぼた的に山川一家は救われることになるから、結果オーライともいえる。しかし、これは山川と浦金が同時期に帝国金融から借金していたという偶然の事情によるもの。

この巻でもっと外れクジを引かされたのは、帝国金融にはめられて夜逃げしなくてはならなかった浦金。帝国金融としては大儲けはできなくても損はしなかった。だから、山川一家の裏切りにより儲け話を潰され、それがショックで涙する灰原の姿は酷く滑稽に感じた。

2008年3月31日読了

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2011年6月19日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年6月19日

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