ただただ驚きしかなかった。
テレビのニュース画面でやっている手話は、聾者には分からない?
高校生手話弁論大会の手話も、聾者には分からないものだなんて。
一体誰のための手話なのか。
元々聾者が使う「日本手話」。そして聴者が使うことが多いのが「日本語対応手話」。その違いは語順や表現方法にある。つまり、全く違う言語と言ってもいいのだ。
著者は後者について「手話日本語」と呼称を変えるべきだと述べている。理由は、日本語を手話で表したものであるから。
語順が同じだから、聴者が口話しながら手話をするのにも向いているし、聴者が理解しやすい。
一方、日本手話の長所は簡潔な表現にあると私は思う。「手話日本語」で何語も必要になる表現でも、日本手話なら数語で済んだりすることも珍しくない。
悲しい気持ちになったのは、高齢の聾者の女性が自身の日本手話を「恥ずかしくてみっともないもの」と認識していたこと。
かつて聾学校で手話が禁止され、口話や読唇術で授業されていたこと。口話を伴う手話が最上とされていたこと。
そうさせていたのは、意識か無意識か、私達聴者なのだと思う。大多数を優先し、少数派を大事にしない現実を突きつけられた気がした。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年6月29日
- 読了日 : 2023年6月29日
- 本棚登録日 : 2023年6月29日
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