映画化もされたベストセラー本。大変読み応えがあり、面白かったです。地元ミシシッピ州ジャクソンを離れ大学に通っていた作家志望の女性スキーターと、スキーターの高校時代の友達(地元を出ずに結婚・出産)、それぞれの家族の元で働いている黒人女性ヘルプ(メイドさん)を巡る物語です。主人公のスキーターは、幸せとはズバリ家柄の良い白人男性に求められて結婚し家庭を築きヘルプを雇う、というような周囲の価値観になじめず、母親との確執、世代間のギャップ、地元ジャクソンに対して感じる愛着と閉鎖的な価値観に対する違和感、違和感をまったく覚えることなく良かれと思って差別し続ける人々への不信感などに翻弄され、変わり者と思われても自分の心に正直に生きようとする不器用者。理想を追い求め紹介者もなしに一流出版社に履歴書を送り、返答を待つような世間知らずですが、かつて自分もそうだった、という編集者の目に止まり、個人的なアドバイス、と断られた上でとにかくまずは書く仕事を見つけなさい、そして書きたいテーマを見つけなさい、と言われて地元の新聞社のお掃除相談コラムの仕事につきます。自分で掃除したことなどない白人女性のスキーターは、高校時代の友人のひとりエリザベスのヘルプであるエイビリーンに頼んで掃除のコツを教えてもらいながら、なんとかかんとかコラムの仕事をこなしてゆきます。スキーターは自分を育ててくれた大好きだったヘルプ、コンスタンティンの消息を知りたいのですが、どうやらスキーターの母親との間に何かあったらしく、くわしい事情がわかりません。エイビリーンならば、、、と相談してみても、事情を知っていることは認めても、白人のレディに自分からは言えない、自分が話すべき事柄ではない、と、断られてしまいます。スキーターは正直だけれども必ずしもいつも聡明なわけでもないので、無意識のうちに自分も差別的なふるまいや言動をしていたり、人々や物事を見たままに捉えていたりもするのですが、エイビリーンや周囲の人に助けられながら、だんだんと意識が開かれてゆきます。そして自分が本当に興味があって書きたいテーマは、ヘルプの側から見たジャクソンのありのままである、それはタブーに触れることだけれど、どうしてもそのテーマをインタビュー本としてまとめたいと思うようになりエイビリーンに打ち明けるのですが、、、。お話はスキーターと、スキーターの友人エリザベスのヘルプであるエイビリーン、エイビリーンの親友で口の悪いミニーの3人の目線から順番に語られるので、同じことが違う立場の人からしたらどういう風に捉えられるのか、ということがわかって、とても読みやすいです。映画も見てみたいと思いました。いろいろな切り口があるので、繰り返し読むと、そのたびに違った感想を持ちそうな本です。
- 感想投稿日 : 2012年3月6日
- 読了日 : 2012年3月2日
- 本棚登録日 : 2012年3月6日
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