少し前にキリンの研究者の著書を読んでいて、テーマや本の構成の雰囲気が共通していたのでテッキリ同じ出版社の本だと思っていたのですが確認したら違いました。それはさておき。水中で暮らす哺乳類に魅せられた研究者による研究の広報本。知っているようで知らない海獣について、平易な文章で分かりやすく幅広い内容をキレイに読みやすくまとめてくれています。イルカとクジラの違いは大きさだけ、ということは知っていましたが、イルカはみんなハクジラの仲間でヒゲクジラは大型のものしか居ないというのは知りませんでした。時折痛ましいニュースとして取り上げられるクジラやイルカのストランディング(座礁)は、貴重な研究の機会であるけれどもいつどこで起きるか分からず、学術的なスキルだけでなく素早く移動手段や宿泊の手配をすることや、自治体との調整や交渉能力までが必要になるなど、当事者でないと想像できないあれこれが生き生きと書かれていて楽しく読了。自然や野性動物の研究は研究室にとじ込もって出来るものではなく、フィールドワークがあってこそ研究室に持ち帰っていろいろ精査出来るのだな、と再認識。『キリン解剖記』に続き、大変面白かったです。どちらも若い人たちに是非とも読んでほしい良作です。
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- 感想投稿日 : 2022年9月1日
- 読了日 : 2022年8月31日
- 本棚登録日 : 2022年8月31日
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