あの戦争から遠く離れて: 私につながる歴史をたどる旅 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2018年7月28日発売)
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本棚登録 : 83
感想 : 9
5

いい本に出会ったー。
素晴らしくて、勉強になって、感動した。大作。
著者は1976年生まれなので私と同年代。
なのに、「父親が中国残留孤児で…」っていう文庫の裏書きを見て、興味をひかれて買いました。

壮大な内容で、前半は中国残留孤児の父親の話。
5歳で中国の田舎の村に命からがら辿り着き、養母に大切に育てられながらも、残留孤児の帰国事業が始まる前に、自力で日本へ帰ってきた父親の壮絶な半生をドラマチックに描く。
後半はそんな父の運命と向き合い、中国に留学し、自分のルーツを辿る著者自身の話。
中国の父の故郷を訪ね、多くの人に温かく迎えられながらも、事あるごとに反日感情にさらされたりもする。
戦争は過去のことではあるが、父が中国に取り残されたのは、父の父親(祖父)が満州の軍人だったからでもある。
著者は軍人であった祖父が満州でどんな仕事に就いていたかという事実とも向き合う。
この部分は分量的には少ないが、かなり読み応えがある。
教科書的な歴史の本は嫌いだけど、一人の“残留孤児”に焦点をあてた本書は、後世に残すべき素晴らしいノンフィクションだと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ルポルタージュ
感想投稿日 : 2021年7月31日
読了日 : -
本棚登録日 : 2021年7月31日

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