王陽明「伝習録」を読む (講談社学術文庫)

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  • 講談社 (2013年5月10日発売)
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感想 : 4
5

本書は、東洋大学名誉教授の吉田公平氏による、王陽明の言行録『伝習録』の現代語訳と解説からなっている。ただし、全訳ではなく、一部抜粋。
 とはいえ、吉田氏は、陽明学左派の研究者なので、左派の観点からの現代語訳と解説が本書の魅力となっている。
 学術者の手になるものだから、予備知識の無い一般人からすれば文章が硬くて読みにくいかもしれないが、読み続けることで次第に慣れていくので、是非、トライして頂きたい。
 本書にも指摘してある事だが、「知行合一(ちこうごういつ。ちぎょうごういつ)」の「合一」の解釈は、「別々のものを合わせる」ではなく、「もともと分けられない」という意味なのだ。
 つまり、「知行合一」とは、「言行一致」を意味するのではなく、
「知(思いや知識)と行(行動)はもともと一つである」
 という意味なのである。(P167)
 私は、その事を、かれこれ20年余にわたって指摘し続けてきたのだが、
「口で言ってることとやっている事を一致させなければならない」
 などという具合に「知行合一」を理解してしまう間違いから、そろそろ目覚めて頂きたいものである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 東洋思想
感想投稿日 : 2016年9月21日
読了日 : -
本棚登録日 : 2016年9月20日

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