本書の初版(原書)が発行されたのは30年以上前である。STAP細胞事件の推移や顛末を見るに、科学界の体質が当時から全く変わっていないということが分かり正直ショックだ。
本書は、まさにSTAP細胞事件のような過ちが二度と起きないよう、科学界と一般社会に対して警鐘を鳴らすべく書かれた本のはずだった。それなのになぜ、という思いが頭をもたげてくる。
なぜ起きてしまったのか。それは本書を通読すれば明らかなのだ。
捏造の対策は科学者の意識改革だけでなく、監督を行う一般人がどれだけ真剣に考えられるかにかかっている。
大切なことは、科学者もただの人間であり、科学という枠組みや考え方も特別なものではないと理解することだと本書は言う。一般人は科学者と聞くとそれだけで遠慮してしまうが、腫れ物に触るように接するのでなく、科学以外の分野と同等に扱うのが正しいのである。本書を読めばそれが嫌というほど分かる。
本書は科学者自身にもその卵にも一般人にも読んでほしい教養本である。
科学をしっかりと見極め管理するために、まずは等身大の科学を知る。そのために本書は間違いなく役立つはずだ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年3月11日
- 読了日 : 2015年3月10日
- 本棚登録日 : 2015年3月7日
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