塾の夏期講習、英語検定、ピアノの発表会を間近に控える5年生の風花は、それまでの3日間を友だちと遊ぶ約束にしていたが、急に思い立って、一人で、伯父仁のいる鹿狼村のキャベツ畑へと向かった。
そこには、仁以外に、同級生の卓也、アルバイト、会社や外国からの研修生がいた。
仁の畑の手伝いをするうちに、風花はキャベツ農家の現状と働く喜びを知っていく……。
……のですが、余りに話が短絡的。
風花の現状からして、彼女の両親(特に母親)は、かなり教育熱心と思われますが、物語のはじめと終わり(キャベツ畑から帰ってから)とでは、人が変わったように物分かりが良くなっています。
連絡のつく信頼できる場所への2泊3日のプチ家出で、そんなに態度が変わるのか?簡単すぎないのか?と思ってしまいます。
次に風花。勉強や習い事ばかりさせられている今時の女の子として描かれていますが、いくら大好きな伯父のところへ行ったからって、そう簡単に何もかも受け入れて学ぶよい子になるのか???と突っ込みたくなります。
それと、キャベツ畑。せっかくだからもっとしっかり描いて欲しかった。値崩れしたキャベツはどうなるのか?どうやって生計が成り立っているのか?キャベツ農家の将来への展望とか、減農薬への取り組みと課題とか……。どうせ描くんなら前作「林業少年」のように教科書的になっても、しっかり情報を入れて欲しい。
思春期の女の子の気持ちにも、キャベツ農家の現状にも踏み込み不足感がある。
主人公は5年生だが、内容的にも分量的にも中学年の方が良いのではないかと感じた。
- 感想投稿日 : 2016年2月27日
- 読了日 : 2016年2月27日
- 本棚登録日 : 2016年2月27日
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