「最後の」外伝、落ち穂拾い的なところなので、とくにまとまりもなく、逆に言えば多様な作風の話を読めるという楽しみはある本にまとまっていた。紹介文に唯一書かれていない一篇が、今後本編が続いていたら重大なネタになる流れの話なので、読む価値のある一冊、と言いたいけど。作者が亡くなってしまった今では、どうでもいいや感もある。
百数十冊に及ぶ付き合いが終わって、思うことは、仕事は終わらせてなんぼだなぁ、ということ。グイン・サーガの100巻目が出て、予定通りに終わらなかった時のがっかり感。その後の自己満足(は言い過ぎか)に30冊以上付き合う徒労。作者死亡を聞いたときの脱力感。最初の格調高い出だしから、徐々に台詞中心、読みやすいライトノベル的な作風に変わっていくところ、尋常ならざる長さならではの世界観の作り込み。全部含めて大好きな作品ではあるのだけど、でも、予定通り100巻でちゃんと終わらせてくれていたら、生涯何度か読み直すような、そんな作品になっただろうなぁと思う。未完に終わってしまった今では、もう二度と読む気にはならないだろう。
そう思うと、北斗の拳であれ、ドラゴンボールであれ、ちゃんと物語に区切りをつけて、(その後の展開が気に入らなかったとしても)そこまで区切れば読めるようにまとめてるというのは偉いなぁ。スラムダンク的な、つぎはぎなく最後まで終わらせてるのが、(あの終わり方が好きかは別として)理想ではあるんだけど、諸般の事情が許さない場合の、一つの「大人の解決法」ではあると思う。グイン・サーガも、そうであって欲しかった。読者のために作者が犠牲になる義理はないんだけど、でも、読者あっての作者であるはずなので(プロなのだから)。
- 感想投稿日 : 2012年6月24日
- 読了日 : 2012年6月10日
- 本棚登録日 : 2012年6月10日
みんなの感想をみる