子どもの学校の図書だよりで知った児童書。
表題と表紙の絵から、私は予感した。絶対にいい物語だろうと。
更にいうと、辻村深月さんの「かがみの孤城」みたいに、悩める中学生が別世界に導かれ、そこで何かを得て現世界で生きる希望を見出していくような、そんな話だろうって。
その世界観にふたたび浸りたかった。
とっても良かった〜〜〜〜〜。
主人公に感情移入してしまった。
最後は良い事が起こりそうな予感が的中した。
この物語が終わるのが寂しくて嫌で、ゆっくりとページをめくっていった。うるっと涙が出た。
謎の第二保健室から、かねやま本館の中学生専門の湯治場へ。
そこには、その日のその人の心にぴったりな温泉が用意されている。
効能は、「傷心」「内省」「受容」「孤独」「嫉妬」「弱気」。
自分の中にあるこれらと向き合う。
そして人の温かさと美味しい物に癒やされ、元の世界に戻っていく。
しかし、この湯治場の利用には期限がある。30日間、1日1回50分間。
第二保健室の銀山先生の言葉が良い。
「疲れた時には、たっぷりの休息が一番大事。今の子どもは疲れすぎている。子ども時代にちょっと休憩を入れたからって、まともな大人になれないなんて話、聞いたことはない。むしろ本物の休息がとれるのは、子供だけ」
「疲れた時には、しっかり休息。美味しい物を食べる。元気が出たらまた頑張る。その繰り返しで人は生きていけるのさ」
子どもが不登校になったことがあり、親としてこの言葉が心に沁みた。
子どもだけでなく、大人にもこの保健室、湯治場、そして仲間が必要。
私にもここに行く入館証をくださいな(T_T)
物語に助けてもらって想像するしかないのかな…。
- 感想投稿日 : 2022年3月6日
- 読了日 : 2022年3月6日
- 本棚登録日 : 2022年3月6日
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