帯に「なぜ古文を学ぶことが大事なのか?」とあるのでその話がメインなのかなと思ったがあまりそういう話ではなかったので注意。
古典が生まれ、廃れていった歴史についての話。
著者の言う古典とは「古今和歌集」「伊勢物語」「源氏物語」「和漢朗詠集」であり、注釈書を持ち、権威を身につけた書物が古典であったという。
「古典的公共圏」がうまれ、上記古典書物や和歌の知識のある人たちが貴族社会で認められていくようになり、江戸時代には庶民にも紙や教育が拡大したことから古典的公共圏も広がっていく。
ところが明治になり教育システムが整備されたことで、「古典」は一つの科目になり、古典的公共圏も崩壊した…ということだった。
前近代では古典知識があり和歌を読めるということが一人前として認められていたが、一つの教科に成り下がってしまった…と。
最後に、「古典を持つ国民は宿命として背負っていくしかない」「アイデンティティのために古典を知るべき」とあるがあまり共感はできない。
本書で語られた古典的公共圏の繁栄と現在の姿を見るに、現代で以前のような古典の繁栄を望むのは難しいと思うし、これからも古典不要論は数多出てくると思う。
古典が大好きだけど、なぜ必要かと問われると正直自分もわからない。でも絶対に後世に残していくべき日本の資産だと思う。どうしたらもっと古典好きが増えていくか、大人として考えたい。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年6月4日
- 読了日 : 2023年5月27日
- 本棚登録日 : 2023年5月27日
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