令和元年のテロリズム

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  • 新潮社 (2021年3月26日発売)
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感想 : 8

 川崎20人殺傷事件、元農林水産省事務次官長男殺害事件、京都アニメーション放火殺傷事件、東池袋自動車暴走事件、令和元年の改元とともに起こったこれらの事件を、はやん店舗で消費されていく報道やSNSの捉え方とは違った腰を据えた筆致で丹念に調査したもの。事件の陰惨さが波状に社会に与えていく影響を考えたとき、広義のテロリズムとしてこれらの事件を検証する余地があるとして書き進められる。
 著者の前著「ルポ川崎」の対になる形で書かれる、登戸(川崎北部)の事件。そしてその事件の「死ぬなら一人でどうぞ」という風潮に感化されて答えてしまった、元農水次官長男殺害。
 個人的にはこの8050問題が社会問題としてもっと詳らかにされる必要があると思うは、「金がある故に問題が社会からは見えない存在になっている」からである。金が無い家なら、子供は開放されるが、金がある家は子供の自立を失う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2021年9月23日
読了日 : 2021年9月23日
本棚登録日 : 2021年9月23日

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