ロックで独立する方法 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2019年3月28日発売)
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本棚登録 : 234
感想 : 27
4

先月のどっかで本屋で見かけて、面白そうだから今度買おう、くらいの気持ちで心に留めておいた本。そして一昨日購入したのが、偶然にも忌野清志郎の命日だったというだけで小さな運命を感じてしまう安い俺。
音楽は好きだけどRCサクセションは世代的に両親の頃で、曲名をいくつか知っている程度の知識しかない。ので本人に惹かれたというよりは、バンドマンという立派な個人事業主として、恐らくはどこまでも自分というものを貫いて生き抜いた人の思いが詰まった一冊に違いない、という思いから手に取ってみた。読み終えてみれば期待通りで、「独立」して生きていきたい人にとっては少なからず何かしらの形で背中を押される、情熱を震わせられる本だった。「商業でやっていくこと」と「自分の好きを貫くこと」の間で揺れ、苦悩すること自体を楽しめるようになったら、それってもう無敵だよな、と。
ファンでも何でもない自分ですら読み終えた際に勝手に親しみを覚えちゃってるんだから、当時から好きだった人にはたまらない一冊なんじゃなかろうか。自分はきっとこの後、当時の動画だったりwikipediaだったりを漁って、忌野清志郎という人がどんなバンドマンだったのかをあれこれ調べて、触れるんだと思う。
少し前までの自分だったらきっと星5をつけていた。それが4に留まったのは、こういう立派な人の言葉を受けて「なるほど!」の連続じゃなく「やっぱそうだよな!」と思う割合が増えてきたと感じるから。夢を掴んだ人達の根っこってどれも共通しているものが多くて、それに励まされはすれど新しい発見が少なくなったのは、それなりに本を読むようになった故の成長……だと思いてえな。
あ、最後に驚いたのが、巻末の解説に出てきたのが津村記久子さんで。ついこないだ「この世にたやすい仕事はない」を読み終えたばかりだったので、世界狭くない?的な偶然。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2019年5月4日
読了日 : 2019年5月4日
本棚登録日 : 2019年5月4日

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