オープニングからピントが合っていないことに驚き、そのあとも主人公の男以外はぼやけている(ピントが浅い)ことに驚く。それがずっと続く。(時々周囲もきちんと見える。その場面に意味がある。)
ナチスドイツ時代、ユダヤ人強制収容所で、ゾンダーコマンドという職について、同胞をガス室に送ったり、死体を処理したりするユダヤ人がいた。彼らも数か月後には同じ運命を辿る。
身の毛もよだつ所業が行われていることが、ぼけた映像でもはっきりとわかる。
ゾンダーコマンドに選ばれた男たちは、脱走を計画したり、強制収容所の様子を記録して残そうとしたりしている。しかし、それは親切には語られない。あくまで見る者が読み取っていくようにできている。
主人公のサウルが、息子だという少年をユダヤ式にきちんと埋葬しようと骨を折るのが物語の中心となるが、本当に息子なのかはわからない。(多分違う。)
ラビを探して躍起となるが、いざ祈りの言葉を唱えてもらおうとすると、実は偽物で、途中で言えなくなったりする皮肉。
結末は悲劇的だが、希望がないわけではない。
いい映画だと思うが、正直言って、見ていて疲れる。
万人におすすめはできない。
ヒットさせようと思えば、もっとドラマチックに、(勿論ピントも合わせて)、音楽もつけて撮ることは可能だったと思う。それを敢えてしなかったために、一般向けには見にくい映画となってしまった。批評家はこういうの好きだけど。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年8月15日
- 読了日 : 2016年8月15日
- 本棚登録日 : 2016年8月15日
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