▼あらすじ
子供の頃、薬草摘みの最中に倒れた妹を助けてくれたのは、異形の男だった。
十年後、マルセルは嫁ぐ妹を見送ると「一緒に来い」と言われた約束を果たすため、彼のもとへ向かう。
死の覚悟をしていたが──
「友になって欲しかったのだ」
存外に優しい目をしている彼、ギーゼルベルトの孤独を知り……。
***
ストーリーの完全度:普通
トーン:せつない・ほのぼの
エロ度:無し
萌え度:普通
総合評価:★4.0
初読みの作家さん。表題作を含めて全部で5つの物語が収録されています。
雰囲気はとても良かったです。あと、何よりも素晴らしかったのが植物や背景の描き込み。“自然”を描くのが得意な作家さんなんでしょうか?とても丁寧に、且つ緻密に描かれていて、その美しさに圧倒されてしまいました。素晴らしい才能をお持ちの作家さんだと思います。
ただ、肝心なストーリーはというと…私には少々物足りなかったです。
まず、どのお話もBL度が薄いんですよね。恋に発展する前に終わってしまう作品ばかり…。当然の如くエロ要素は一切無いし、キスシーンすら無いに等しいです。
あと、短編だから仕方ないのかもしれませんが、一番期待していた表題作の展開が早く、あっさり終わってしまったのが残念でした。題材が良かっただけに、これが丸々一冊表題作で、植物や背景の描き込みと同じくらい展開もじっくり丁寧に描いていただけてたら…と思わずにはいられなかったです。
とにかく一貫して優しい雰囲気のお話なので、そういうお話が好きな方やBL初心者さんにはうってつけの作品だと思いますが、私にはちょっと優し過ぎましたね(^^;)
絵がどんなに美しくても中身が伴わなければ満足できないタイプの人間なので、絵だけでなくストーリーでも魅了してほしかった、というのが正直な感想です。
漫画よりも小説の挿絵向きの作家さんだと、個人的には思います。
- 感想投稿日 : 2022年6月8日
- 読了日 : 2021年1月9日
- 本棚登録日 : 2020年12月27日
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