こ難しいけれど、エロチックな、味わいのある作品。
わたしは無宗教だが神はあると思っている。けれども真剣に考えたことがない。つまり考えたこともないことは未知。知りたい。
しかし神を信じるか、信じないかを試すのに、変態(どうしたってそうみえる)夫が妻に誰彼かまわず不倫をさせるとなぜわかるのか、変な理屈だ。しかも夫は神学の大学教授である。
読んでいるうちに、めまいがしてきたのは膨大な哲学的論であるけれども、そのめまいのうちには春本と見間違うほどの いきなりそこ(エロチズム)へいくのか!という強烈な変態の様相。
その変態老人(といっても60歳、しかし昔は…)が30歳妻の不倫状況を妄想したり、演出したりするのが微にいり細にいり書いてあること、あること!
作者自身の挿絵が数枚あるが、エロというより下手グロで、なおさら輪をかけて妖しくておかしな気分になる。
でも、それに目を奪われてはいては理解できない。悪魔の誘惑という図式ならまだわかるがそういう簡単なものではない。そんなのは映画で観たことある。尼僧に悪魔が付くとか。
そうではなくて人間が人間を試すとこうなる。とくに変な趣味のひとが。
だが、この妻は賢かった。だって最初から神を信じていなくてだまされた振りして楽しんでいて、しかも…(ネタバレになるのでやめる)
つまり、わたしもすこしは西欧の神学についておもしろく読んで解かったかなーと言う気分。まあ、そんな簡単にわかるものではないだろうけど。
解説を読むともっと違う読み方が示してある。いろいろ解釈・議論がある作品ということだ。
- 感想投稿日 : 2021年8月7日
- 読了日 : 2009年11月5日
- 本棚登録日 : 2021年8月7日
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