ロベルトは今夜 (河出文庫)

  • 河出書房新社 (2006年5月3日発売)
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本棚登録 : 118
感想 : 10
4

こ難しいけれど、エロチックな、味わいのある作品。

 わたしは無宗教だが神はあると思っている。けれども真剣に考えたことがない。つまり考えたこともないことは未知。知りたい。

 しかし神を信じるか、信じないかを試すのに、変態(どうしたってそうみえる)夫が妻に誰彼かまわず不倫をさせるとなぜわかるのか、変な理屈だ。しかも夫は神学の大学教授である。

 読んでいるうちに、めまいがしてきたのは膨大な哲学的論であるけれども、そのめまいのうちには春本と見間違うほどの いきなりそこ(エロチズム)へいくのか!という強烈な変態の様相。

 その変態老人(といっても60歳、しかし昔は…)が30歳妻の不倫状況を妄想したり、演出したりするのが微にいり細にいり書いてあること、あること!

 作者自身の挿絵が数枚あるが、エロというより下手グロで、なおさら輪をかけて妖しくておかしな気分になる。

 でも、それに目を奪われてはいては理解できない。悪魔の誘惑という図式ならまだわかるがそういう簡単なものではない。そんなのは映画で観たことある。尼僧に悪魔が付くとか。

 そうではなくて人間が人間を試すとこうなる。とくに変な趣味のひとが。

 だが、この妻は賢かった。だって最初から神を信じていなくてだまされた振りして楽しんでいて、しかも…(ネタバレになるのでやめる)

 つまり、わたしもすこしは西欧の神学についておもしろく読んで解かったかなーと言う気分。まあ、そんな簡単にわかるものではないだろうけど。

 解説を読むともっと違う読み方が示してある。いろいろ解釈・議論がある作品ということだ。 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2009年
感想投稿日 : 2021年8月7日
読了日 : 2009年11月5日
本棚登録日 : 2021年8月7日

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