大切な人を失ったとき、自分の足元がもろく崩れ去っていくように感じる。
寄る辺なさのような、心細さのような、痛みのような悲しみを。
あるいは失ったことが納得できず、「なぜ」を繰り返したり、後悔にさいなまれたり。
たとえば天寿を全うした最期や、病気ゆえの覚悟のあとであったとしてもそれは誰もが感じるものだろう。
だけど、もし、その死が「自死」によるものであったら…
考えただけでもその悲しみと苦しみの大きさに震える。
悩んでも悔やんでも消えることのない後悔。突然襲ってくる空虚。
答えてもらえない問い、もう二度と会えない現実と、どうやって折り合いをつければいいのか。
声優あさのますみが大切な人の死を受け入れるために必要とした喪の作業。
そのひとつひとつを自分の言葉でつづったこの手紙がいつか自分にも必要になる時があるかもしれない。
いや、多分誰のそばにもきっと、その日はあるのだろう。でもその人が生きた、その事実は消えない。
その人との思い出は消えても、その人と過ごした時間は消えない。そのことをこの長い長い手紙は私に教えてくれた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2021年6月
- 感想投稿日 : 2021年6月30日
- 読了日 : 2021年6月30日
- 本棚登録日 : 2021年6月30日
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