職業としての官僚 (岩波新書 新赤版 1927)

著者 :
  • 岩波書店 (2022年5月20日発売)
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人事院出身の研究者が、自身の経験を交えながら、「官僚」のこれまで・いま・これからのあるべき姿を論じている。諸外国の官僚事情を知る機会はなかなかないので興味深いし、筆者が天職として官僚を選んでもらうにはどうしたらいいか、について熱く考えているのが窺えるのも面白い。

これからの官僚制のあり方についての提言めいたものも提示されており、すごく雑に要約すると以下のようになる。すなわち、民間労働市場との関係も考えた際に、霞ヶ関の人材リソースに全ての押し付けるの無理であり、何を官僚に任せ/何を任せないのか、を整理する必要がある、そして国民の側は自らにもその整理のための責務の一端があることを認識し、それを意識した政治選択をすべき、とのこと。
元官僚だから官僚に対して甘いのか、と一瞬思うが、必ずしもそういうわけではなく、たとえば、ウェーバーを引いて、官僚に「感情の排除」を求めるが「思考停止」はするな(つまり、自分の感情で物事を決めちゃいけないけど、だからといって道義にもとる判断を見過ごすようなこと等はするな)と忠告している。

官僚の人生を導くデーモン、として紹介されている現役幹部官僚の声はひたすら熱い。毎日じゃなくていいけど、現場の官僚とこういう話ができるといいね。

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感想投稿日 : 2022年10月28日
読了日 : 2022年10月28日
本棚登録日 : 2022年10月28日

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