左手一本のシュート: 夢あればこそ! 脳出血、右半身麻痺からの復活

著者 :
  • 小学館 (2011年5月18日発売)
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感想 : 32
5

『左手一本のシュート』/島沢優子

この書籍の主人公は、田中正幸君という当時15歳の少年です。
田中君は、中学時代、山梨県でも県選抜に選ばれるほどバスケットボールが上手な子でした。
高校入学してすぐに、脳出血を患い、半身麻痺となってしまいます。
この書籍は、田中君が病に倒れてからバスケットコートに再び立った日までの軌跡をまとめたものです。

私も小学校から40を迎える今に至るまで、バスケをやっています。本当にバスケがあったからこそ、色々な人と出会う事ができ、様々なことにも接点を持つことができました。その一つに当然、読書も含まれます。
だからこそ、本書を手に取った時、タイトルに惹かれました。「左手のシュート」
右利きの場合、左手でシュートを打つことはそう多くありません。本を手に取った時はそんなことくらいしか思っていませんでした。そして、バスケが題材となっていたから興味を持ったにすぎませんでした。

本書を読み進めていくうちに、将来有望な若いプレイヤーが突然の脳出血って・・・
最初のうちは頁を捲る手も重かったように思います。でも、田中君がすごいのは、

p78
成功率何パーセントといった確率で、自分の夢までの距離を測るようなことはしたくなかった。夢の確率は計算できるわけじゃない。
確率が低くてもできるときはできるし、できないときはできない。

「死んじゃったらできないけど、おれは生きている。生きていれば、可能性はゼロじゃない」

という考えに始まり、決して何事にも諦めない。それどころか、周りに弱音を吐くこともせずに、たった一つ、「バスケが好き」って気持ちだけで、半身麻痺の状態の中で、どうしたらコートに復帰できるかだけを考えている姿に勇気をもらいました。
もちろん、15歳という年齢で様々な感情にも揺さぶられたと思います。
でも、彼は、病に倒れて、1167日後に、コートに戻るんです。

p206
「その目標を叶える為に、1年間じっくりと時間をかけるために休学して、病気の治療と身体の機能の回復に頑張ろうと思いました。本当につらくて厳しいリハビリをこなし、バスケットボールができることを願って毎日自分を励まし勇気づけながら、ここまで立ち直ることができました。
そして3学年のいま、自分の意思で練習を頑張りインターハイ予選に出場することができました。僕は「失敗しても大丈夫」という仲間のみんなに強く支えられ勇気と自信をもってがむしゃらにボールを追い、左手でゴールを狙い、決めることができました。

もちろん、簡単にゴールできたわけではなく、毎日苦しいリハビリと左手と左足を使った練習に打ち込み、不思議とあきらめようと思ったことは一度もありませんでした。それは「大好きなバスケットをしたい」という信念が僕にはしっかりとあったからです。僕はこの体験を通して、目標に向かって努力をすれば、きっと夢は叶えられると思いました。

みなさんは、いま夢を持っていますか?夢とはどんな存在だと思いますか?僕は夢とは「自分自身の心と体を成長させてくれる大切なもの」だと考えます。夢に向かって毎日精いっぱい頑張れるように「いつか、やがて、きっと」という言葉を僕は心のなかで大切にしていきます。頑張っていれば必ず夢は叶います。だから、みんなにも勉強をしっかり頑張って高校に合格を果たして、その先にある輝く未来へ夢をもって努力していってほしいです

これからも夢をもち、夢に向かってトライしてください。僕もいっぱい夢があるんで頑張ります。」


夢の力って、つくづく凄いなと感じさせられました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2020年7月16日
読了日 : 2021年12月18日
本棚登録日 : 2020年7月16日

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