ヴァン・ダインの第二作
〈カナリア〉という異名をもつ女優が、自室にて絞殺される。容疑者は限定できるが、それぞれにアリバイがあった。また、部屋に侵入したものはいないという電話交換手の証言や不自然に荒らされた部屋が事件を難しくさせていく…。
作中で難しくしているのは、シチュエーションというよりファイロ・ヴァンスだったりする。結果的にはそれでよかったものの、シンプルに「あいつ」が犯人だったとしたら、戦犯ものである。
心理面からのアプローチで、どうやって犯人のアリバイが作り出されたかは二の次。ポーカーゲームで犯人を洗い出してから、さて犯行はどうやって行われたのだろうと犯行現場で神託を受けようとするヴァンスには流石だといわざるを得ない。そして、躊躇いもなく「やらせる」というのは流石の一言。
解説で述べられているとおりだとすると、当時でもこのトリックは既出のものであったということなのだろうか。
このシリーズは、トリックよりヴァンスを愛でるものでないかと思いだしてきた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ミステリ
- 感想投稿日 : 2018年8月13日
- 読了日 : 2018年8月13日
- 本棚登録日 : 2018年8月13日
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