心が折れる職場

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  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2016年7月1日発売)
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モチベーションが生まれる源泉には大きく2つある。

外側から与えられるもの(外的な動機づけ)と
内側からあふれてでてくるもの(内的な動機づけ)


外的なものとして、具体的には職場の環境、作業状況、待遇、正真。
内的なもの、仕事が好き、達成感や満足感がある、仕事の意義を感じる、自分が成長できる、なりたい自分に近づける、というように自分の中から生まれてくるもの。

この2つを比べると、内的な動機付けのほうが、はるかにモチベーションに強い影響を与えることがわかる。
「自発的な飲み会」のない職場で、メンタル不調が多発する

職場でのコミュニケーションは2つの種類がある

①「業務上」
②「業務外」

業務上のコミュニケーションが十分でなければ、業務外のものはほぼ成立しない。

仕事で問題を抱えている部下がいれば、今の状況をしっかりと聞いて、「問題の原因は何か」「解決するためには何が必要か」「それは部下だけでできるのか」「自分(上司)はどんなサポートをするべきか」など、会話を通じて問題解決を図る必要がある。


ただ単に「こうしなさい」とアドバイスや指示をすればいい、これで業務上のコミュニケーションは十分だと勘違いしてはいけない。

会話から「今、このような問題を抱えている部下はどんな気持ちなのか」と相手の心情に思いをはせることで初めて成立する。


肝心なのは、飲み会や食事会の回数が多いか少ないかではなく、職場の人たちと、雑談を含め、「仕事の話が気軽にできる、あるいは仕事以外の話ができる空気があるか」


メンタル不調を抱えてしまう人がでてくる職場は、必要に迫られた「業務連絡」以外の話をしにくい傾向が大変に強く、場合によっては、「仕事の話すら、気軽にはしにくい」とう状況がある。


親身に指導する上司が空気を悪化させる


心に余裕がないから、そもそも映画や小説にふれようという気持ちが起こらない


論理的思考が重視される職場の欠陥

あまり論理的思考を重視する環境ですと、「同じ時間を使って本を読むのに、小説など読んでどうするのか。役に立たないのでは」という考えが支配的になってしまうのかもしれない。


メンタル不調を抱える人は、「正しい解決策」を欲しているのではなく、まず「このつらい気持ちをわかってほしい」と感じている


没頭して時間がすばやく過ぎ去ることを、心理的用語で「フロー」という。
フローの状態であれば、長時間にわたって働いても、心理面ではさほど苦痛とは思わない。


また、「やらせれている状態」ではなく、積極的に仕事に関与していることを「ワークエンゲージメント」という。

その対極にあるのが、「燃え尽き」を指す「バーンアウト


●社員間のコミュニケーションが少なくなっている
●社員同士の助け合いが少なくなっている
●上司が部下を育てる余裕がない
●仕事の意味を考える余裕がない

上記、業績が悪化している会社では、イエスと答える人が多くなる。


業績絶好調なのに不調者続出の会社の実態

A社「社員を大切にする」
B社「業績を上げて、採用人数を増やす」

というスローガン(経営理念)を掲げていた。


A社は社員に対して、まる一日単位のメンタルヘルス研修の機会を設けて、管理職向けのラインケア研修や、一般従業員向けのセルフケア研修を行ったり、傾聴力、自己表現力、モチベーション・マネジメントなど、応用編の研修を続けたりしています。


業務上で求められる技術水準にまで達していないことからもたらされるストレスやプレッシャーによって、メンタル面で問題を抱える(SE)


上司が発する「言葉」は、部下の心の健康を維持する上で、大変重要な意味を持つ。

部下が仕事をさぼったり、失敗をしてしまった際には、きちんと指摘、指導するのも上司の重要な役割。


問題は、部下が失敗した際など、ネガティブなメッセージを伝えなければいけない時に、それをどうフォローするか、できるかということ。
この点において、「言いっぱなし」のケースが多いので、部下の心は折れていく。


自分の仕事ばかり優先する上司の弊害

本当に正しいマネジメントの役割という意味で考えれば、上司は現場の仕事を持ってはいけません。
野球やサッカーの監督のように、1人ひとりの部下の個性をしっかり見極めたうえで、どのように有機的に結び付ければ、組織のパフォーマンスが最大化するかを考えるのが仕事。

それなのに、自分の(現場の)仕事にばかり集中して、部下のことに関心がいかない上司が多いので、問題が発生してしまう。


上司は自分の手を動かすよりも、メンバーのモチベーションを高め、スキルや知識の不足があれば、それを補い、行き詰ったメンバーがいれば、しっかりフォローする。これが本業。


部下との関係で、アドバイスを押し付けてしまう上司は下手なクライアントと同じ。
最低限、「部下とのコミュニケーションは、対企業のコンサルティングとは違う」というくらいの認識を持っておく必要がある。

問題や悩みを抱えた部下と接する際には、アドバイスの前の段階である、「会話」をいかに行うかが、大切なプロセスになる。


一番効果があるサポートとは、
部下のサポートには「4つの基本」が必要になってくる。
●情報面のサポート 
 知識や情報収集をベースにコンサルテーション的に解決法を示すこと

●情緒面のサポート
 共感したり、努力に気づいてあげたり、見守ったりする。これを本人に伝えることで精神的な支えになる働き。

●道具的なサポート
 部下がいよいご大変になってきたときの場面で必要となる、「直接的な手助け」
「自分でやってきなさい」と、突き放すのではなく、上司自ら手を差し伸べること。

●評価面のサポート
 上司が部下に、業績の結果のみならず、しっかりプロセスを含めて、フィードバックを伝えていく。


上司が部下に適切なサポートができるようになるには、まず「自分が得意とするサポートは何か」を知ること。それによって、何が足りないか認識できるようになる。

そのことで「直接的な手助けも、上司がするものなのか」とか、あるいは「自分はアドバイスしかしていないけれど、精神的なサポートも必要だったのか」など、自分のスタイルを見直してほしい。


「趣味が少ない人」が不調になりやすい


画期的な成果を残す人は、仕事外も活発


職場の中で「叱責」が頻繁に飛び交うような状態

その指導は、部下のためか、上司の自己アピールか

絶対に口にだしてはいけないのは、他人と比べる言葉。


カウンセリングで目指すゴールは「まず本人が本質的にはスキル不足になっていることに気づき、それを直属の上司に伝えられるようにしましょう」ということになる

ほんとうに働きやすい、成果が出やすい職場の上司は、自分の、そして部下のキャリアについて正しい未来志向のマインドを持っている。


一番大切なのは、やはり職場のリーダーが「関わる気持ち」を持つこと。

1日かけて、知識や意識、意欲が強化されると、必ず行動変容が起こる。
上司が部下に対してどう行動するかー。そこを変えていくことで、職場のメンタルヘルス環境は大きく改善していく。

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感想投稿日 : 2017年5月16日
読了日 : 2017年5月16日
本棚登録日 : 2017年5月16日

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