BSにて視聴。
鮮烈な映像と坂本龍一の物悲しい音楽が印象的。
誰もが一度は学ぶ第二次世界大戦を、満州視線でというのが新鮮だった。
美しいジョン・ローンに見惚れ、坂本龍一の死んだ目に震え、紫禁城や中国衣装の煌びやかさに目を奪われて、長さもあまり感じなかった。
長い間隔離され守られて生きてきた人が、ある日突然外に出され、見せかけとはいえ自由を手に入れたら、よほど思慮深い人でない限り暴走したり騙されたりしてしまうのは理解できる。
幼児が外に出る時、保護者が手を繋いで飛び出しを抑制するが、彼にはそうやって導いてくれる人はおらず、破滅への道を真っ直ぐ進むしか無かった。
ただ壊れたのは彼自身ではなく、彼を助けようとした周りの人々だったのは、なんとも皮肉で哀しい。
イギリス人家庭教師がとても良かった。
誰にとってもメンターのような存在というのは大事なのだろう。
紫禁城を出た後にもそういった人が身近に居たら、また違っていたと思う。
信じた人がいつも離れていってしまう溥儀の人生が行き着いた先は「植物と生きること」というのは、自然の流れなのかもしれない。
誰かを追うたびに非情に閉まる門、立ちはだかる兵士、そこで泣いて抵抗することもなく一人来た道を戻る姿に、深い孤独と絶望を感じる。
晩年の生活で、それが少しでも癒されていたら良いなと思う。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年1月30日
- 読了日 : 2020年1月30日
- 本棚登録日 : 2020年1月30日
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