アフリカポレポレ (新潮文庫 い 38-1)

著者 :
  • 新潮社 (1990年2月1日発売)
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感想 : 21
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アフリカの平原には明度の高いモーツァルトが似合う。
すさんでいこうとする心をなぐさめるのはモーツァルトというところに共感する。モーツァルトの音楽にはドラマチックなところはない。でも天から降ってきたような音楽である。すべてを昇華して,どこまでも明るくどこまでも透明だ。
「(アフリカの平原は)わたしはチャイコフスキーだと思う。シンセサイザーもね。だってドラマチックですもの。」
4歳の女の子がこんな会話を交わすことができるなんて・・・。その子のつぶやきはきらり輝いている。
「(サファリに行くのは)おひるねするためと,動物たちの賢いおことばを聞きに行くのよ。」
「シマウマの子どもは死んでいます。死ぬと・・・,骨になります。そして土になります。それが・・・,自然のきまりです。」
アフリカで自然の摂理を体感した彼女。子どもはほんとに神様に近い。
NHKのドラマはかなり脚色してあった。ドラマには描かれていなかった素の生活の部分を知ることができてよかった。アリやダニとの闘い,アフリカに順応するためのすさまじいはずの闘いが淡々と描かれているのがいい。大地に根ざす女性の強さ。この本を読んでますます実感した。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年1月3日
読了日 : 2019年1月3日
本棚登録日 : 2019年1月3日

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