10年ほど前に1ヶ月だけ住んでいた岐阜の図書館でなんとなく手にとって読んだことがあった一冊。
表題作の読後感がゾッとしつつも不思議な爽快感もあり、なんともいえず印象的で覚えていた。
あれから10年、結婚して移り住んだ土地の図書館で思いがけず再会して再読。
人生も本との縁も不思議なものだ。
今回気づいたけど、表題作はSF、「まぼろしの町」や「約束」はファンタジーの趣もあるし、収録されている4作とも、子どもの頃に吸っていた空気が蘇るような不思議なお話だ。
ゾッとするほど絶望的な状況なのに、美しさや希望すら感じる表題作。
後味にノスタルジーとほろ苦さ、そしてすこしのあたたかさが残る「まぼろしの町」と「ガラスのライオン」。
人間の集団の残酷さと物語の結末にゾッとさせられ、なんとも後味の悪い「約束」。
今回読んで気づいたけど作者は「ズッコケ3人組」シリーズを書いておられた方だったのね。
読み終えてみてとても良い短編集だと思う。
前回読んで咀嚼しきれなかったほろ苦さをうまみに感じられるようになったのは、読んでる自分が大人になったということなのかしら。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文芸
- 感想投稿日 : 2020年2月9日
- 読了日 : 2020年2月9日
- 本棚登録日 : 2020年2月9日
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