その日、依泉子(いいこ)はブルーだった。一大決心して精一杯おしゃれして告白したのに振られてしまったからだ。あまつさえ、動揺して「バカ!」と叫び平手打ちをしてしまう。そんな自分に後悔していると不思議な少年と出会って……。
「世界の恋人」という設定がまずおもしろかったです。
世界は、世界でおこる全てのものを「ただ見るだけの存在」です。
意識だけがあった彼が依泉子によって形を与えられる。
しかし、依泉子はだんだんと世界の存在を認識できなくなっていく。
一方、どこか遠くの海辺では一つの恋の物語が繰り広げられていて……。
全くと言って良いほど関係のなかった二つの話が一つに溶け合っていく様子は、おもしろかったです。こういうの好きだなあ。
又、キャラクターの行動理由が明確に示されていて、わかりやすかったです。
ああ、あと、男の作家さんなのに女の子の心情や関係性を書くのがやたらうまいなあ、と関心しました。
最後のタイトル「ハッピーエンド、だったよね」が示すとおり、ノー天気な話ではありませんが、それでも良い終わり方でした。
ところでこれっていつの時代を想定した話なんでしょ?
2006年発行の割にはケータイ一切出てこないし。
というか、その前にポケベルが出てこない。
依泉子の家には食器洗い機も掃除機もあるけど、それが全くない家も出てくるし。
昭和の終わりか平成の初めくらい?
ああ、あと、途中のヤンデレ展開(未遂含む)にびっくり、びっくりだよ!
読書状況:未設定
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2008年7月19日
- 本棚登録日 : 2008年7月19日
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