偽史日本伝 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2000年10月20日発売)
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本棚登録 : 266
感想 : 38
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きっとこの物語は正史とされている歴史を知らなければ面白さが半減してしまうだろう。
本来の歴史ではこんなふうに描かれているけれど、もしかしたら裏にはこんな物語があったのかも・・・という遊び心にあふれている。
「転がらぬ男」「どうにでもせい」の二篇がとくに面白かった。
「転がらぬ男」
豊臣秀吉の死後、徳川家康が天下を手中にしたことは周知の事実だ。
また、秀吉が家康を配下の立場に追いやるまでの苦心も広く知られている。
本当に秀頼の行く末が気がかりだったのなら、もっと違う道があっただろうに・・・と思うのはすでに豊臣家の滅亡を知っているからだ。
あの人物をあそこで殺さなければ。
誰が考えても無謀にしかみえない戦いなどしなければ。
そして、どんな手段を使ってでも徳川を潰しておけば。
戦をろくに知らない人間たちが余計な口出しなどする事態を招かなかっただろうに。
家康の底知れない我慢強さと深謀をあらためて感じる物語だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2017年2月17日
読了日 : 2017年2月17日
本棚登録日 : 2017年2月17日

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