キュ-ティ・ブロンド (ヴィレッジブックス S フ 2-1)

  • フリュー (2002年3月1日発売)
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感想 : 8
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【楽しくて元気になるお話】
リース・ウィザースプーンの映画『キューティ・ブロンド』の原作本。

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主人公のエルは生まれながらのブロンド美人。セレブの町ベル・エアで学園祭クイーンにも選ばれ、大学のソロリティ会長もつとめる自他共に認めるアイドルだ。

エルも友人たちもみな関心があるのはダイエットや今日のネイルの色やどうやってステキな彼氏をゲットして大学卒業後できるだけ早くステキな結婚をするか。
ところがある日突然エルは最愛のボーイフレンド・ワーナーに捨てられてしまう。それは「エルにようなブロンド美人は恋人にするにはいいが、弁護士を目指す自分の結婚相手としてはあまりに軽薄すぎる」とワーナーが考えたせいだった。

ブロンド人はバカじゃない。自分だってやればできることをそのワーナーに証明し、再びワーナーを取り戻すために、彼女は猛勉強してワーナーと同じスタンフォードのロースクールに入学する。

学園祭クイーンだのミス○○だの、この主人公エルはまるで御伽噺やテレビドラマの主人公のようだ。だから読んでいるこちらもエルになかなか共感できなさそうだし、下手をすればエルに対して反感を感じたり「所詮御伽噺」とうがった見方をしてしまいがちだ。
ところがこのエル、あまりにも恵まれた環境に生まれ育ったせいか、今時珍しいほど気が良くて愛嬌がある。しかもそれが読んでいてまったくイヤミがない。そこがいい。そして彼女には軽薄な外見とは裏腹に根性がある。

エルは入学したロースクールで、他の堅くて真面目な生徒たちの反感を買ってしまい「顔がいいだけのお気楽お嬢様が一体何をしに来たんだ」とバカにされ、笑われてしまう。それでもエルは逃げ帰ったりしない。
確かに彼女はみんなが必死にノートパソコンでメモを取る授業中にこっそりコスモポリタンを読んでいたり、相続法の授業でも民事訴訟法でもろくに質問に答えられない。
でも彼女は他の生徒や教授にバカにされた時はビューティサロンに飛び込み、一番好きなピンクのネイルを塗ってもらう。そして家に戻って敢然と教科書に取り組む。もちろんピンクのペンとピンクのノートで、だ。
クラスの仮装パーティで、エルの物まね『弁護士バービー』の仮装をした意地の悪いクラスメイトに笑われても決してへこたれない。マイクロミニの革スカートとハイヒールの仮装で、胸を張ってワーナーににっこり笑って見せる度胸がある。

ロースクールを卒業してブロンドはバカじゃないことを証明し、ワーナーを取り戻そうというのがエルの元々の目標だった。
でも在学中、偶然出会ったある事件によって彼女は変わる。
彼女のホームグラウンドでもあるマリブで起こった殺人事件。老富豪が殺され、その6番目の妻が遺産目当ての犯行であるとして訴えられた。
彼女は「自分は殺していない」と訴えるが、誰も信じない。なぜなら彼女は『若く美しいブロンド女』だったから。
人々の目には彼女は、財産目当てで老富豪と結婚した軽薄な女としか映っていないのだ。

自分と同じ「ブロンド美人」が「ブロンド美人」であるがゆえに、殺人の嫌疑をかけられた。彼女はその妻を助けるために、彼女の弁護を担当する弁護士が募集していた研修生に立候補する。そしてエンボス加工のされたオリジナルのピンク色の履歴書で武装して選抜面接に参加する。
そして彼女は「おバカ扱いされる天然ブロンド人の人権を守るために弁護士になる」ことを決意するのだ。

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エルは何があってもくじけない。いつもいい方に考えを向けて『Think Pink』の精神で、ピンクのネイルとピンクの洋服で自分を奮い立たせて頑張る。
そこが読んでいてとても好感が持てて大好きだ。
ちょっと元気をなくしている時に読むと、ちょっと笑えてハッピーになれる良い本だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 【小説・英米】LOVE・SUCCESS コメディ
感想投稿日 : 2009年12月27日
読了日 : 2009年12月27日
本棚登録日 : 2009年12月27日

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