謀叛の児: 宮崎滔天の「世界革命」

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  • 河出書房新社 (2017年4月21日発売)
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左翼的考えをもつ著者による宮崎滔天伝。宮崎滔天の生まれてから死ぬまでの歴史がわかり、伝記として概略の生涯を理解できた。ただ、歴史認識が左翼的に歪められているように感じられ、内容がしっくりこない。イマイチ宮崎滔天像がイメージできなかった。
結局は、著者の持論である左翼的革命思想を論じることが目的となっているように思う。
「1883(明治16)年から86年ごろは、明治時代の民衆生活において、もっとも悲惨な時期だった。この時期、深刻なデフレによって農村が困窮していた(色川大吉)」p61
「(1881(明治14)年頃)松方正義は、大隈時代の官営事業を次々と民間に払い下げた。受け取ったのは三井や三菱である。そして、そうした中で成長し始めた各種産業に投資したのが、農村の富を吸い上げた寄生地主層であり、新しい産業に労働力として組み込まれていったのが小作人の次男、三男や娘たち、離農して都市スラムに流れ込んだ元農民たちだった」p63
「(タイで活躍する中国人(華僑))中国の民衆がもつ、恐るべき強さを発見した。政府の庇護が全く存在しない場所でもたくましく生き抜く中国人民衆の自立性と知恵、そして生命力に、彼は目を見張った」p126
「(辛亥革命後 臨時大総統に孫文が就任)就任式に招待された日本の民間人は、滔天、末永節、萱野長知、山田純三郎など7人だけだった」p284
「レーニンとウィルソンによって提唱された民族自決の思想が世界中で歓迎されている中、これを抑えつけるようなことをすれば、かえって民族運動の共産主義化、過激化を招くことになる」p328
「南京中国近代史遺祉博物館には、孫文と滔天が並ぶ銅像がある」p358

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感想投稿日 : 2018年10月21日
読了日 : 2018年10月21日
本棚登録日 : 2018年10月21日

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