なぜ世界は"日本化"するのか

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  • 扶桑社 (2017年3月2日発売)
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企業経営コンサルタントによる、「日本らしさ」の追求の大切さを説いた本。日本のすばらしさについて語られることが少ない現状において、日本の伝統、習慣、日本人の考え方を再度学び、認識することが、ビジネスの成功につながることを、例を挙げて説明している。面白く読めた。
「世界はどの国も、先進国になれば量から質を追求するようになる。質的なモノづくりに特化している国の中では、断トツで日本が先頭を走っている。質的な生活を追求するようになると、どうしたって日本と巡り合う。また、どこの国の民族も豊かさを目指す。豊かになれば人は、量より質を求める。どの民族も、質を追求していくと日本にぶつかる。だから「世界は日本化する」のである」p5
「日本のさまざまな商品やサービスの質を実現してきたのは、日本、そして日本人という社会資本だった」p6
「東京駅は、1日定期列車で160本もの新幹線をたった2面4線のプラットフォームで運行させている。この運行計画を可能にするためにには、プラットフォーム1線で1時間当たり平均3~4本の電車を発着させなければならない。お客様が降りるのに2分、車内清掃に7分、お客様が乗り込むのに3分、合わせて12分間で入ってきた新幹線は再び送り出される」p15
「乗降客が押し合いへし合いしない。降りる人が先、乗る人が後という技術。この乗客の技術とその土台になっている規律性、これがなければ、2分間隔で山手線を走らせることは不可能である。日本人という国民性、日本人という社会資本があるから、山手線は異常なまでの運行密度を確保できるわけである」p19
「京都には、百年企業が1000社以上あると言われている。業歴1000年以上の老舗は7社もある」p23
「(日本の父母がつい最近まで教えたこと)1 お天道様が見ている 2 ご先祖様に恥ずかしいことをするな 3 故郷に錦を飾りなさい」p51
「(仏文化大臣マルロー)(特攻隊について)彼らに権勢欲とか名誉欲などはかけらもなかった。祖国を憂える貴い情熱があるだけだった。代償を求めない純粋な行為、そこにこそ真の偉大さがあり、人間はいつでも、偉大さへの志向を失ってはならないのだ。フランス人の中には、特別攻撃隊の出撃機数と戦果を比較して、こんなにすくない撃沈数なのになぜ若い命をと、疑問を抱く者もいる。そういう人たちに、私はいつも言ってやる。「母や姉や妻の生命が危険にさらされているとき、自分が殺られると承知で暴漢に立ち向かうのが息子の、弟の、夫の道である。愛する者が殺められるのをだまって見過ごせるものだろうか」と。私は、祖国と家族を想う一念から恐怖も生への執着もすべて乗り越えて、いさぎよく敵艦に体当たりした特別攻撃隊の精神と行為のなかに男の崇高な美学を見るのである」p105

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年10月21日
読了日 : 2018年10月21日
本棚登録日 : 2018年10月21日

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