猫のパジャマ (河出文庫)

  • 河出書房新社 (2014年1月8日発売)
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本棚登録 : 322
感想 : 21
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・「猫のパジャマ」という表題で、しかも表紙カバーにはネコたちの絵が踊っている。だが、収録された21篇ほどの短編のうち、ネコに関するものは、標題作のみ。ネコ人気にあやかった編集かも。

・「猫のパジャマ」は、とてもシンプルでわかり易いお話。夜のハイウェイに子猫が! そこに、それぞれ別方向からクルマを走らせてきたドライバーの男女が…。子猫を救い出そうと手をのばしたその手がふれあう。そして、自分がひきとるのだ、と互いにゆずらない。やがてふたりの距離が縮まってゆく…。
そんな素朴で、あったかいお話。

その他、ブラッドベリらしいというべきか、タイムリープ、タイムマシンものがちらほら。
・「夜明け前」は、どうやら未来世界からやってきたらしい、風変わりな夫婦のお話。
・「マフィオーソ・セメント・ミキサー」は、生セメントが固まらないように回る、あのドラムみたいな装置のかたちをしたタイムマシンが描かれる。
スコット・フィッツジェラルドの大ファンの男が、この作家の創作人生を改善させようと、そのタイムマシンで過去の改変を試みる。フィッツジェラルド最期の作品にして未完の小説「ラスト・タイクーン」が、きちんと書きあがるように過去に働きかけるのだ。ミキサーのなかにフィッツジェラルド全集やら、作家の関連アイテムなんかを放り込み、ぐるぐる回す…。

解説によると作者ブラッドベリは、フィッツジェラルド、ワイルド、メルヴィル、ポーに心酔していたという。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2023年2月1日
読了日 : 2023年1月30日
本棚登録日 : 2022年12月24日

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