職業としての官僚 (岩波新書 新赤版 1927)

著者 :
  • 岩波書店 (2022年5月20日発売)
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感想 : 27
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《良かった点》
・冒頭において、当該本の趣旨を説明することで、「誰に伝えるための本であるか」を明確にしている
・どのような意図で語彙を使い分けているかを明示している
→読者に配慮した作成、一言一句へのこだわり

《学んだこと》
・現在の人事制度では、政治家に諫言する官僚は疎まれ、重職から外され得る。よって今後、公益の立場から政治家に対して率直な意見を言える官僚が減り、政治家にとって都合のいい官僚だけが生き残る可能性が高い。
→自らの立場を顧みず、公益を重視して、政治家に対して耳の痛いことを素直に言える官僚が求められる。
→政治家が官僚の人事に過度に関われない制度が必要。
・現代の官僚は受け身になりつつある。昔は若いときから政策立案等の大きな仕事を任されていたが、現在は情報公開法に基づく記録の作成や報告書作成等、事務的な業務が増えているため、政策立案に関われるのは課長補佐級になってからが通常である。したがって、政治からの仕事を受注する形なっており、若手職員は能動的に働けていない。
→主体的に考えて行動できる官僚が求められる。特に、アイヒマンのように、思考停止に陥ることは最も避けなければならない。

《ぐっときたフレーズ》
「どの職業においても、思いをくじくような理不尽な障壁は付き物であり、それにもかかわらず使命を貫徹しようとする強靭な精神があることがプロか否かの試金石となる。」

《これからの行動指針》
・行動を起こす(仕事をする)ときは、なぜそれをするのか、それは正しいことなのかを問い続ける
・周囲から批判や罵倒を浴びようとも、自分の信念に従って、「にもかかわらず」という精神で行動する

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 専門書
感想投稿日 : 2023年3月15日
読了日 : 2023年3月14日
本棚登録日 : 2023年3月1日

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