非正規レジスタンス 池袋ウエストゲートパークVIII

著者 :
  • 文藝春秋 (2008年7月30日発売)
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2014/04/05読了

日本の社会問題...というと難しくややこしく聞こえるが、現状は呆れるほどシンプルで酷く、怒りと嘆きに満ちている。フィクションではなく実在するものであり、作中のような人間は多くいる。そう考えると、政治とか経済とかは、こういった下層の人たちにどう機能するのだろう。

千川フォールアウト・マザー
母親にならざるを得ない人、子育てをしたいのに満足に出来ない人。たしか、出産する費用が無いからと病院を後にして流産してしまった母親の話を聞いたばかりだ。
マコトのおふくろが主人公でした。絶対に勝てない「王」はタカシでもなく、マコトの母親なのかも。時には人の手を借りること。そして、選択をすること。

池袋クリンナップス
「偉い人」と「豊かな人」は、心をどこに置くのだろうか。
ビジネスのためなのか、行動・本望のためのビジネスなのか。自演でも、本望の部分を理解する人はいるのでカズフミは恵まれたほうなのかも。本当に「日本を良くしたい」と思うリーダーとは、こういう人なのかもしれない。

定年ブルドッグ
トラブルの内容よりも、パワフルなおっさんの強さ。
タカシとの対戦は見てみたいな。時代は変わり、生き方や考え方は柔軟に考えなくちゃいけないのだけれど、軸の部分はそのままであるべきであると思う。

非正規レジスタンス
なんだか身につまされる話。働き方、生活の仕方の是非はともかく、こうしている人って思った以上にいそうだ。
マコトの怒りが今回は如実に表れていて、それだけ、筆者の関心があるということだ。
今は色々なサービスがあり、それだけ、生活に関わる一切が簡略化され商品のように扱われている。労力というものの存在価値も同様に軽量化する。仕事を巡るこうしたシンプル化は負のスパイラルを引き起こしているのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会派小説
感想投稿日 : 2014年4月5日
読了日 : 2018年3月1日
本棚登録日 : 2014年4月5日

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