八日目の蝉 通常版 [DVD]

監督 : 成島出 
出演 : 井上真央  永作博美  小池栄子  森口瑤子 
  • アミューズソフトエンタテインメント
3.77
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本棚登録 : 2464
感想 : 553
5

ドラマと違って、徹底的に「男」を排除してるように思えた。
説明っぽいシーンも少ないので、心をとにかく揺さぶられる。
映像的には、圧倒的にNHKのドラマの映像が美しかったけど。
映画、独特の映像と、ムダなセリフの少なさと
井上真央と永作博美の演技が光ってた。


原作を読んでるときにも、野々宮希和子はアタマの中で
永作博美をイメージしながら読んでしまったので
もしかしたら、映画、見たかもしれないと思ったほど
この小説には、移入してた。

生後6ヶ月で、父の愛人である野々宮希和子(永作博美)に
誘拐され、4歳まで育てられるという
衝撃的な人生。

でも、ミツゴノ魂百までも。
というだけあって、
キワコは、本当の母よりも母親らしく
愛情たっぷりに、その子、
薫(井上真央)を育てていたのだ。


誘拐してから、途方にくれ、
近くの薬局でおむつを買ったりするときに
薬局の人から、助言もらったりするシーンが
原作にはあるんだけど、
細かいシーンは、一切はぶいた
キワコと薫。
二人の心情を中心に描かれた、この映画は
本当に素晴らしかった。


学生時代の友人に助けられ、
宗教ではないとしながら、ボランティア団体を自称する
「エンジェルホーム」での生活。
転々としながら、薫と、ただ一緒にいたい。
それだけを思いながら、生きるキワコの
許されない母性。


そのまま、薫は、キワコと一緒にいたほうが
シアワセだったんじゃないだろうか。とさえ
思わせてしまうほど、穏やかな小豆島での生活。


自分が被害者で、世間の目をあび
他人のような不確かさな思いを実の母に感じながら
また、実の母親も、夫の不倫と、愛人の堕胎と
実子の誘拐と、いくつもの大きな傷をおいながら
どんな気持ちで生きてきたのか。


冒頭、実母である秋山恵津子(森口遥子)の
アップが映し出されたとき、
森口遥子じゃないんじゃないかと思うほどの
<美しくない女>だったのが印象的。

薫。本名、恵理菜(井上真央)が
自分の本当の気持ちに気づくキッカケとなった
エンジェルホームで一緒に育った千草 ( 小池栄子)の
再会によって、その「思い出」が明らかになっていくのだけど。
小池栄子の、猫背な姿。エンジェルホームで受けた心的影響。
これまた、すごいな。色んな役をこなせる女優になったんだな~と感じた。

ドラマも映画も、どちらも良かった。
個人的には、やっぱりキャスティングも演出も
映画のほうが良かったかな。
何より、原作が良すぎて、夢中になって読んだものだったので
どちらも裏切らない映像表現で
素晴らしかった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 角田光代
感想投稿日 : 2013年9月13日
読了日 : 2013年9月13日
本棚登録日 : 2013年9月13日

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